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CASE STUDY

リョーサン菱洋株式会社

「AIを売る会社」がAI活用に悩んだ理由 部門横断30名で挑んだ「AIワークショップ」の成果とは

  • Salesforce
  • 定着・活用支援
  • 卸売業・小売業
  • 1,000名

リョーサン菱洋株式会社は、「お客様のニーズにお応えし社会に必要とされる企業になる」というビジョンのもと、企業のプロダクト価値の最大化を支援しています。半導体や電子部品、ICT製品を幅広く網羅する事業基盤を活かし、顧客の課題に寄り添った高度なソリューションを提供。自社の顧客だけではなく、その先にいるエンドユーザーの課題解決までを見据えた取り組みを通じて、エレクトロニクス産業のさらなる発展に貢献しています。
 
2026年、同社の全社的なマーケティング施策やセールスイネーブルメントを牽引する営業企画本部では、社内のAIリテラシー向上と具体的な活用アイデアの創出を目的に、セラクCCCが提供する「AIワークショップ」を採用しました。
今回、セラクCCCをパートナーに選んだ背景や、ワークショップを通じたメンバーの意識変化、今後の展望について、営業企画本部の村田様、山川様、加藤様、山村様、飯島様にお話を伺いました。
 
導入の背景:
実業務にAIをどう活かすかが不明確で活用が個人レベルに留まり、部署間で習熟度や期待値に差が生じていた。単なるツール利用にとどまらず、各部門が自ら課題を整理し継続的に改善テーマを創出できるよう、活用推進に向けた組織としての共通認識を形成する必要があった。
 
導入の効果:
部門横断のメンバー30名を対象に、実業務に落とし込んで議論する実践的なワークショップを実施。AIリテラシーが向上し、システム側と現場でAI活用に向けた具体的な議論が可能になった。8件の代表的なアイデアも創出され、各部門が自律的にAI活用できる土台が構築された。

AI活用が進まない原因は「既存業務の延長線」にあった

―まずは御社の事業概要と、社内におけるAI活用に着手された背景をお聞かせください。
村田様:
2024年の経営統合、そして2026年の事業会社合併により誕生したのが「リョーサン菱洋」です。半導体や電子部品、設備機器などを幅広く扱うエレクトロニクス商社として事業を展開しています。
グローバル企業への手厚いサポートやロボット商材を得意とするリョーサンと、国内の幅広い顧客網やAI領域に強みを持つ菱洋エレクトロ。この両社が融合したことで、近年はAIを武器としたソリューション展開にも注力しており、最先端の「フィジカルAI(AIロボティクス)」領域においてシナジーを生み出しています。
成り立ちは異なる両社ですが、以前から共通して抱えていたのが「日々の付帯業務に圧迫され、お客様と接する時間が不足している」という課題でした。そのため2024年から個人単位でのAI活用を推進してきましたが、現場の自助努力に委ねる形だったため、社内での活用度にバラツキが生じてしまいました。
 
山川様:
我々は言わば「AIを売る会社」です。だからこそ、お客様へ提案する前に自身がAIを使い倒し、その本質を深く知る必要があります。お客様がどこでつまずくのかを身をもって経験しなければ、真の課題解決には繋がらないと考えています。
そうした考えから、2025年に社内システムへのAI組み込みに挑戦しました。しかし、明確なユースケースが定まらず、現場への定着には至りませんでした。世間の多くの企業様が直面する壁と同じように、当時の我々も「AIに対する本質的な解釈」が社内に浸透しきれていなかったのです。
 
村田様:
新しい技術への挑戦において、最初からすべてがうまくいくとは限りません。試行錯誤を繰り返す中で我々が強みとしているのは、状況を見極めて素早く軌道修正できることにあります。そこで、自社だけで進めるには限界があると判断し、外部の知見を取り入れる方針へと切り替えました。
 
―外部の知見を求めた理由と、セラクCCCを選ばれた決め手を教えてください。
村田様:
自社主導で進める中で痛感したのは、「自社業務を知り尽くしているがゆえに、どうしても既存業務の延長線上で考えてしまう」というジレンマでした。無意識のうちにミクロな視点に陥り、全体を俯瞰するマクロな視点が欠けていたのです。
単なる一部業務の置き換えではなく、“AIありき”で業務をダイナミックに再設計するには、業務改革の最前線にあるIT業界の知見が不可欠だと気づきました。
 
山川様:
こうした変革のコアな部分こそ、専門家を頼るのが効果的だと考えました。そこで、以前からSalesforceの定着・活用支援でお付き合いがあり、AIの実装ノウハウを持つセラクCCCさんに現状を相談しました。そしてご提案いただいたのが、今回実施した「AIワークショップ」です。
 
村田様:
複数社に相談はしましたが、我々はすでに自社主導での失敗を経験していたため、一般的なセオリーを当てはめるだけの提案では意味がないと考えていました。その点、セラクCCCさんは我々の課題感に対し、「他業界でも同じようなケースがありますよ」と、“生きた事例”を的確にぶつけ返してくれました。
私が普段、営業メンバーに「お客様の現状と目指す姿のギャップを分析できなければ良い提案はできない」と指導しているのと全く同じ姿勢です。単なる枠組みの提案に留まらず、我々の現状認識と課題感を深く共有してくれたこと。それが我々にとって譲れない基準であり、今回の決め手となりました。
 
セラクCCC Salesforce活用コンサルタント:
当社はSalesforceの定着・活用支援を主力事業としておりますが、我々が考える「活用」とは、単にツールを導入して終わることではありません。常にお客様のゴールを見据え、「ツールをしっかり使いこなして、どのように事業を伸ばしていくのか」という、本質的な成果の創出をご支援することだと捉えております。
 

 

目的は当事者意識の醸成。なぜ座学ではなくワークショップだったのか

―ワークショップ形式を採用されたのは、なぜでしょうか。
山川様:
AI活用は、単なる知識習得(座学)だけでは決して現場に定着しません。自社の実業務にしっかりと落とし込むプロセスが重要です。現場の業務を俯瞰する我々営業企画本部のメンバーが“AIありき”の思考を身につければ、AIが最大の効果を発揮する領域を自ら企画・立案できるようになります。だからこそ、参加者自身が業務課題を整理し、具体的なアイデアを創出していくワークショップ形式は、我々の目的に最適なアプローチでした。
 
村田様:
実際に運用するのは現場のメンバーですから、トップダウンでシステムを押し付けるだけでは自発的な活用には繋がりません。「自分たちで課題を見つけ、解決策を作り上げた」という当事者意識を育むプロセスと、これまでの延長線上で考えないためのトレーニングが不可欠でした。そこで今回は、各事業を横断的に支援する営業企画本部から、既存の枠にとらわれない「柔軟な発想を持つ若手メンバー」を中心に選出しました。
 
―どのようなプロセスで進められたのでしょうか。
セラクCCC AI定着・活用コンサルタント:
当日は各部署から約30名にご参加いただき、8グループに分かれて3時間のワークショップを実施しました。進め方はシンプルで、まず業務課題を洗い出して「人が担う業務」と「AIで代替できる業務」を整理し、その後、工数や発生頻度などを踏まえてAI化の優先度を検討。最後に、どのAI機能で実現できるかを議論し、各チームに具体的な活用案を発表していただきました。AI活用の推進も本質的にはSalesforceの定着化と同じで、重要なのは現場のユーザーが実際に活用し成果につなげることです。そのため、現場の皆様が業務全体を俯瞰しながらアイデアを出し、「実務で活かせる施策」を自ら考えるプロセスを重視しました。こうした主体的な検討こそが、AI活用を定着させる鍵になると考えています。
 

 

発想と実現性の両輪を回す。アイデアだけで終わらせないための工夫とは

―ワークショップを活性化させるため、社内で独自の工夫をされたと伺っています。
村田様:
参加者のモチベーションを高め、主体的な議論を促すため、今回は2つの賞を設けました。1つ目は、現場の「こんなものがあったらいいな」という潜在的なニーズを発掘し、新たな需要を自ら創出する感覚を養うための「Tech Lab賞」です。ユーザー視点の自由な発想を評価するもので、今回は若手チームの「AI秘書」というアイデアが選ばれました。
ただ、それだけではアイデアの羅列で終わってしまいます。そこで、業務フローの具体性や実務への実装可能性をプロの視点から評価していただく、「セラク賞」も設けました。こちらは、普段から業務のシステム化を追求しているIT推進部チームが受賞しました。ユーザー視点の需要創出と、それを形にする実現性。この両輪を設けたことで各チームの強みが際立ち、主催者としても理想的な成果を得ることができました。
 
山川様:
こうした仕掛けも功を奏し、各チームが非常に高い熱量で議論を交わす活発なワークショップとなりました。
AI導入というテーマになると、我々エンジニアはどうしても「どう実現するか」という技術先行の思考に偏りがちです。しかし、本当に必要だったのは実装技術そのものよりも、前段階にある“課題への向き合い方”でした。セラクCCCさんから「まずは業務全体を俯瞰してみましょう」とご提案いただいたのは、まさにその本質を突くものでした。おかげで「AIを使うこと」が目的化せず、本質的な課題整理からしっかりとスタートを切ることができました。
さらに、分かりやすいフレームワークと的確なファシリテーションによって議論の方向性が揃ったことで、短時間でも密度の濃いアウトプットを生み出せています。何より、自らの手で最適解を導き出す一連のプロセスが、参加者の深い納得感に繋がりました。
 

 

最大の成果は、AI活用を前に進める「共通言語」が生まれたこと

―実際に参加された皆様は、どのような変化を感じられたのでしょうか。
飯島様:
我々IT推進部のようにシステム導入を担う部署が、IT側の主観だけで進めてもユーザーには受け入れられません。「現場の皆さんがAIに何を期待しているのか」を知ることが、私の参加目的でした。セラクCCCさんの支援は、フレームワークを型通りに押し付けるのではなく、我々の発想を尊重しながら、「それならこういう視点も持ってみてはどうか」と、背中を押してくれるようなサポートでした。ワークショップを通じて、現場がAIに寄せる期待を知ることができたのは大きな収穫です。
また、改めて実感したのは、現場のニーズと乖離したシステムは浸透しないということです。人によってAIへの期待値や知見は異なるため、今後はAIで実現できることを発信しながら、現場と対話を重ねて活用を進めていく必要があります。
そうしたスタンスを持てたことが、今回の最大の気づきでした。AIを身近な存在として捉えながら、現場と一体となって導入を進めていきたいと考えています。
 
加藤様:
「AIありきでの業務再設計」というテーマの面白さはもちろん、他部門とゲーム感覚で競い合う仕掛けに、開始早々から非常にワクワクしました。普段は日々の業務に追われているため、日常から離れて集中できるワークショップ環境こそが、組織変革の重要な“きっかけ作り”になると強く感じています。
また、業務プロセスを入り口から出口まで洗い出し、ボトルネックを見極めて具体的な打ち手を導き出す「思考の型」を得られたことは大きな成果でした。我々のチームは攻めの営業を支援する「パーソナルトレーナーAI」を立案しましたが、他部門の全く異なるアプローチからも良い刺激を受けました。
アイデアの創出が個人のセンスに依存し、属人化してしまうのを防ぐには、今回体得した思考プロセスが欠かせません。Salesforceの浸透や営業プロセスの標準化を担う立場として、この経験を一過性で終わらせず、会社の知的資産として標準化し、組織全体へ定着させていく重要性を改めて実感しています。
 
山村様:
私は普段、インサイドセールスやデジタルマーケティングのマネジメントを担当しています。日常的に生成AIを利用してはいるものの、「AIを売る立場」でありながら生成AIとエージェントAIの違いを十分に理解できていないという課題感がありました。今回、頭と体を動かす実践的な議論を通じて、その違いを明確にインプットできました。
普段の会議では「どこにAIを使おうか」という漠然とした議題で停滞しがちですが、今回は実業務の細分化から的確にAIを当てはめていく実践的なアプローチを学べました。
とはいえ、我々はまだ一歩目を踏み出した段階です。今後はこの経験を活かし、AIに馴染みのない最前線の営業メンバーをいかに巻き込んでいけるかが鍵になります。「この体験をお客様にどう提供できるか」「自社のビジネスにどう落とし込めるか」。こうした本質的な視点を持てるようになったことこそが、私にとって最も価値のある変化です。
 

 
―今回の取り組みを通じて得られた手応えや成果はありますか。
山川様:
現在進行形のため定量的な成果はこれからです。しかし、以前は「なかなかユースケースが上がってこない」という課題を抱えていたのに対し、今回のワークショップを通じて実装に向けた代表的なアイデアが8件、さらに“AI化の種”となる数多くの素案が生まれました。
ただ、最大の成果は、それらを自ら考え提案できる「メンバーが育ったこと」です。従来はシステム側と現場側とで、どうしても意見のすり合わせが難しい場面がありました。しかし今回、両者の間に“共通言語”が生まれたのです。現場から「この業務のここに悩んでいて、理由は……」と論理的な説明が上がるようになり、システム側も「実現性が高いから優先しよう」と応じるような、本来あるべき建設的な会話ができるようになりました。
 
村田様:
思考が一段深まり、「AIありきで業務を再設計するとはどういうことか」という感覚が組織に芽生え始めています。これにより発想の幅が広がり、過去に一度は諦めた業務自動化を再検討するきっかけになりました。
具体的には、展示会で回収する大量のアンケート集計業務です。かつてはOCRによるデータ化を試みたもののうまくいかず、結局アナログな手作業に戻ってしまった経緯がありました。しかし今回の経験を通じ、こうした「一度は改革を断念した領域」であっても、再挑戦する道が拓けたと感じています。
 

↑当日のワークショップの様子です。

 

AI活用をPoCで終わらせない。次なる挑戦へ

―最後に、今後の展望とセラクCCCへの期待などをお聞かせください。
山川様:
今後は生成AIによる業務効率化にとどまらず、「Agentforce」をはじめとするエージェント型AIも取り入れ、営業活動や顧客対応、ナレッジ共有をさらに高度化させます。リョーサン菱洋グループとして、AIを単発のPoCで終わらせるつもりはありません。今回生まれたアイデアを「形にする・浸透させる・進化させる」サイクルを回し、継続的な運用の仕組み化と人材育成を推進していきます。
このワークショップは、「AIに関心はあるものの、何から始めればよいかわからない」と悩む企業にこそおすすめしたいです。ツール導入を目的化するのではなく、業務課題の整理から具体的な活用テーマを導き出せるため、組織の意識改革と実践的なアイデア創出を両立できる点に大きな価値を感じています。
 
村田様:
これまでは、まずは手探りでも一旦実行に移し、失敗を重ねることで自社の現状と課題を正しく理解してきました。そのプロセスを経て、今回は取り組みを大きく前進させる確かな手応えを得ています。
特に大きな成果だったのは、エージェントAIの特性を深く理解できたことです。AIは最初から完璧に動くものではありません。複数のプロトタイプを試作してROIを見極め、現場で育てていく。こうした「反復的なスタイル」へのシフトが必要だと実感しました。今後は、いかに効率よくAIのユースケースを実装し、改善していくかという「開発プロセスの見直し」が全社展開の鍵になります。だからこそ、次に目指すべきは「アーリーサクセス(早期の成功体験)」の創出です。現場が納得する成功事例をいかに素早く生み出せるか。このスピード感を軸に、本格展開の準備を進めます。
我々は自社の業務には精通していますが、他業界の最新動向まで網羅しているわけではありません。セラクCCCさんには、他社の成功事例やノウハウの水平展開をはじめ、当社の挑戦を支える力強い伴走をこれからも期待しています。
 

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お客様プロフィール

企業名

リョーサン菱洋株式会社

事業内容

半導体や電子部品の販売および製造・IT機器や付随するシステムの販売、製造および構築

リョーサン菱洋テクラボについて

 

 
「お客様の課題を集め、テクノロジーで解決したい。もっとお客様の役に立ちたい。」
日々、お客様ニーズに対するテクノロジーの活用法と解決までのプロセスを研究して情報発信しております。
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