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カスタマージャーニーマップとは? 作り方やメリット、事例を紹介

2025年06月20日

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はじめに
最適なマーケティング戦略を構築するために、カスタマージャーニーマップは欠かせない指標です。
本記事では、カスタマージャーニーマップの概要と意義、作成手順や活用事例などを解説します。

 

カスタマージャーニーマップとは?

カスタマージャーニーを図で表現したものがカスタマージャーニーマップです。カスタマージャーニーとは、直訳すると「顧客の旅」を意味します。ユーザがある商品やサービスを知り、購入や導入・問い合わせに至る一連のプロセスを旅に見立てたもので、主に企業側がユーザと企業とのタッチポイント(接点)を経験し、どのような問題や感情が発生するかを可視化して整理するために使用されます。
似た言葉に「ユーザシナリオ」という言葉がありますが、これは設計や開発の指針として特定の目標を達成するためにユーザがどのように行動するかという点でカスタマージャーニーと異なります。
カスタマージャーニーマップは、ユーザと企業のタッチポイントや心理状態を可視化したマップです。ユーザの行動(Webサイトの訪問、商品の購入、カスタマーサポートへの問い合わせなど)と感情(興奮、期待、安心、混乱、フラストレーションなど)を時系列で示し、どのようなマーケティング手法が適切かを検討するための資料として活用されます。これにより、企業はユーザの体験を深く理解し、最適なタイミングで適切なアプローチを行うことが可能になります。
カスタマージャーニーマップの詳細についてはこちら(【無料テンプレート付き】カスタマージャーニーマップの作成手順と注意点)を参照ください。

 


<カスタマージャーニーマップのイメージ>

 

カスタマージャーニーマップを作るメリット

カスタマージャーニーマップを作成する場合、ユーザの心理状態の把握や理解、マーケティングの手法やタイミングの見直しが可能など、さまざまなメリットがあります。
ここでは、各メリットについて詳しく解説します。

 

ユーザの心理状態を把握・理解できる

ユーザの心理状態を可視化したものがカスタマージャーニーマップです。
たとえば、購入前の期待感や不安感、商品を使用しているときの満足感など、ユーザの感情に関する具体的な洞察が得られます。これにより、ユーザ行動の背景にある課題や訴求ポイントが明確になり、企業の適切なアプローチを導き出すことが可能です。
近年はデジタル化が進んだことで、質・量ともに優れたユーザ情報を取得することが容易になりました。これをもとにカスタマージャーニーマップを作成し、ユーザ行動の仮説を立てることで、マーケティング施策の効果をより高められます。

 

マーケティングの手法やタイミングを見直せる

カスタマージャーニーマップは、ユーザが製品やサービスとどのように関わっているかを可視化し、その過程でユーザのニーズや課題を明らかにします。この情報をもとに、企業はユーザとの接点の作り方やフォローアップの方法を最適化することが可能です。
たとえば、ユーザが興味のある商品の関連情報をメルマガで送信する最適なタイミングを見極め、どのSNSを利用してプロモーションを行うかを決定します。
カスタマージャーニーマップを活用することで、自社の商品やサービスに興味をもちそうなユーザへ的確にアプローチし、最適なタイミングや手法で情報を提供でき、マーケティング効果を高められます。

 

不足している施策を洗い出せる

カスタマージャーニーマップにおいて、ユーザが期待する行動に至るプロセスをフェーズごとに分析することで、これまで実施していなかった施策を追加で検討する機会が生まれます。購入前に商品の魅力が伝わっていない場合、情報提供の充実を図る必要があります。
また、購入後の満足度が低いと考えられる場合、サポート体制の強化が必要です。
さらに、ユーザとの接点として活用できる媒体の再検討も可能です。
たとえば、従来行っていたメールマガジンの配信に加えて、適切なSNSを積極的に活用して、最新情報を提供することが考えられます。このように、ユーザの期待に応えるサービスを提供するための具体的なマーケティング施策を打ち出せます。

 

優先度の高い施策をチームで共有できる

カスタマージャーニーマップの作成により、各フェーズでの課題が明確になり、優先順位や緊急度の高い施策を絞り込みやすくなります。
さらに、カスタマージャーニーマップを社内で共有することで、個人の目標ではなく、チーム全体で一貫性のある施策に取り組めます。これにより、時間の無駄がなくなり、全員が同じ方向に向かって、顧客満足度の向上やビジネス成果につながるマーケティング施策を迅速かつ効果的に実行することが可能です。

 

カスタマージャーニーマップの作成手順

カスタマージャーニーマップは、「ゴールの設定」「ペルソナの設計」「プロセスの定義」「ユーザの行動・感情の洗い出し」「タッチポイントの洗い出し」「施策の検討」「KPIの設定」の7つの手順を踏んで作成します。
ここでは各手順について詳しく解説します。

 

1. ゴールを設定する

ゴールの設定とは、ユーザに期待する具体的な行動を明確に定めることを指します。これは、カスタマージャーニーマップ作成の最初のステップであり、極めて重要です。
ゴールの例としては、商品の購入、メルマガの登録、アプリのダウンロード、無料トライアルの申し込みなどが挙げられます。これらのゴールが異なると、ユーザが必要とする情報や考えるポイントもそれぞれ異なります。
したがって、明確なゴールを設定することで、次のステップで詳細なプロセス設計をする際、スムーズに進めることが可能です。

 

2. ペルソナを設計する

ペルソナとは、ゴールに到達する典型的なユーザ像を詳細に描いたものです。既存顧客のデータの活用やヒアリングを通じて、ユーザの属性や行動パターン、ニーズを分析します。ペルソナ設計では、年齢、性別、職業だけでなく、行動特性やライフスタイル、関心ごとなども盛り込むことで、より具体的なイメージが湧き、マーケティングやコミュニケーション戦略がより効果的になります。
ただし、ペルソナを設計する際には、理想像にならないよう注意が必要です。
また、ペルソナは定期的にアップデートして、変化する市場や顧客のニーズに対応することも重要です。

 

3. プロセスを定義する

プロセス定義では、カスタマージャーニーマップの横軸を決めます。ここでは、ユーザが企業と最初の接点をもつ場面から、ゴールに至るまでの時間軸での流れを明確に定義します。初期接点、情報収集、比較検討、利用、利用後など、特定の商品やサービスに特化した段階的なプロセスを詳細に細分化します。
たとえば、ゴールが「購入」である場合、プロセスは認知、興味・関心、比較検討、問い合わせ、購入という順序です。
プロセスを明確に定義することで、次の縦軸(ユーザの行動・感情など)を書き出すステップに移行します。

 

4. ユーザの行動・感情を洗い出す

設定したプロセスごとに、ユーザが取る具体的な行動や、その背景にある感情や課題を書き出します。
たとえば、情報収集段階ではユーザが製品やサービスに関する詳細な情報を求める一方で、比較検討段階では価格や特典の比較などの行動を取ります。
そして、これらの行動には興味や不安、信頼感などの感情がともなう可能性があります。
書き出す際には、事前に設定したペルソナを活用し、具体的な行動や感情を想像して詳細に洗い出します。
さらに、感情と課題を分けて書き出すことで、カスタマージャーニーマップの精度をさらに向上させることが可能です。

 

5. プロセスごとのユーザとの接点を洗い出す

続いて、各プロセスでのユーザとのタッチポイントを明確にします。情報収集の段階ではWebサイトの訪問、購入時には店舗への訪問、購入後にはカスタマーサポートへの問い合わせなどが、タッチポイントの代表例です。現在実施している施策をカスタマージャーニーマップにすべて書き出したあと、「4」で洗い出した情報をもとに、新たな施策の検討に移行します。

 

6. 施策を検討する

これまでのステップで収集した情報をもとに、ユーザが各プロセスで直面する課題や期待に応じた、具体的な施策を考案します。
たとえば、情報収集段階での若年層のニーズに対応するための「SNSの活用」や、購入後の頻繁なサポート問い合わせに対応するための「顧客サポート体制の強化」などが考えられます。
最適な施策を選定するためには、チーム全員での議論が重要です。さらに、企業のリソースや技術的な実現が可能であるかの考慮が必要です。

 

7. KPIを設定し、適宜改善する

最後のステップとして、カスタマージャーニーマップの効果を定量化するために、プロセスごとに適切なKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標 )を設定します。これにより、各プロセスやタッチポイントでのユーザ体験の成功を測定し、施策の効果を評価する基準を確立できます。
そして、これらの指標を定期的に監視し、その結果をもとに必要に応じて改善していくことで、マップがさらに洗練されていき、より効果的な施策の立案・実行へとつながります。

 

カスタマージャーニーマップの活用事例

カスタマージャーニーマップを作成し、ユーザとのコミュニケーションが改善されたネットスーパーの実例を解説します。

 

ネットスーパーにおけるカスタマージャーニーマップ活用事例

あるネットスーパーでは、ユーザとのコミュニケーションチャネルとして複数のツール(SNS、アプリ、メール、SMS)を活用しています。
しかし、ユーザに同じ内容の通知が何度も届くことが問題視されていました。そのため、ユーザニーズや状況に応じてアクションを柔軟に組み替える必要がありました。
そこで、マーケティングの最適化とオンラインストアページの改善を目的に、カスタマージャーニーを再設定しました。カスタマージャーニーに適したプラットフォームとして、Salesforceのソリューションが最適であると判断し、導入しました。
さらに、EC事業部、業務部などの部署ごとに担当する業務を設定し、カスタマージャーニーに基づいた適切なタイミングでのコミュニケーションをする体制を整えました。
このネットスーパーの特徴は、定期便でありながら、顧客の好みに合わせて内容物や量を自由に変更できる柔軟性にあります。注文変更が締め切りまで可能ですが、これを怠るとユーザはネガティブな感情を抱き、解約率が増加する現象がありました。
そこで、カスタマージャーニーマップを作成し、適切なタイミングで献立を提案し、注文が未変更の場合にリマインダーを繰り返し送信することで、注文未変更率を減少させることに成功し、解約リスクを劇的に削減する成果も上げました。

さらに、EC事業部や業務部などの部署ごとに担当する業務を設定し、カスタマージャーニーに基づいた適切なタイミングでのコミュニケーションを実施する体制を整えました。このネットスーパーの特徴は、定期便でありながら、顧客の好みに合わせて内容物や量を自由に変更できる柔軟性にあります。
しかし、注文変更が締め切りまで可能であるにもかかわらず、これを怠るとユーザはネガティブな感情を抱き、解約率が増加するという問題が発生していました。

そこで、カスタマージャーニーマップを作成し、適切なタイミングで献立を提案し、注文が未変更の場合にはリマインダーを繰り返し送信することで、注文未変更率を減少させることに成功しました。この結果、解約リスクを劇的に削減する成果も上げました。

 

カスタマージャーニーマップ設計時の注意点

効果的なマーケティング戦略を行ううえで重要なカスタマージャーニーマップですが、設計時には注意が必要です。
ここではカスタマージャーニーマップの注意点について、詳しく解説します。

 

目的達成に向けた運用設計

カスタマージャーニーマップは単に作成するだけでなく、目的達成に向けて定期的にPDCAサイクルを回していくことが重要です。ユーザの行動に変化が見られない場合は、常にマップをブラッシュアップする姿勢が求められます。
さらに、スケジュールを設定して実際の施策に取り組むことで、よりマップの真価を発揮します。

 

複数人によるユーザ目線での設計

カスタマージャーニーマップを単独で設計すると、客観性を欠くことがあります。
したがって、各部署からの参加を促すことが重要です。個々の希望や予想がマップに影響を与えないようにする意識も必要です。
また、企業が理想とするユーザ像をマップに反映する場合もありますが、客観性を欠くため避ける必要があります。調査データや実際のユーザからのフィードバックをもとに、マップを作成することが大切です。

 

まずはシンプルな内容で設計

カスタマージャーニーマップを設計する際には、ペルソナの設定やプロセスを詳細に把握することが重要です。
ただし、はじめから完璧なマップを作成するのは困難です。ユーザ像やマップの記載内容があまりに詳細になると、限定的な状況のみに適応したマップとなり、汎用性が失われる恐れがあります。シンプルながらも基本的な情報を中心に据え、必要に応じて段階的に改良していくことが、効果的なマップ作成の第一歩です。

 

まとめ
カスタマージャーニーマップとは、ユーザの行動パターンと感情を分析し、企業が自社製品やサービスの成果を効率的に高め、より効果的なマーケティング戦略を策定するための重要な指標です。
複数の部署の人々でマップを作成し、ブラッシュアップを重ねることで、より精度の高いマップが完成します。
もし、自社では難しいと感じた場合にはセラクCCCにご相談ください。
セラクCCCはSalesforceの認定パートナーとして最高位のExpert認定を取得しており、定着・活用支援においてトップクラスの実績と豊富な人材(コンサルタント)を有しています。この豊富な実績から培ったノウハウを活かし、お客様のマーケティングを組織と人材の面から強力にサポートいたします。
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