コラム詳細

メールマーケティングとは? 種類やメリット、実施方法を解説

2025年06月27日

  • Account Engagement(旧Pardot)
  • Marketing Cloud
  • BtoBマーケティング
  • MA
  • マーケ知識

はじめに

見込み顧客の顧客化はマーケティング活動における重要課題です。そのためには、獲得した見込み顧客との信頼関係を築き、購買意欲を醸成する仕組みが求められます。
そこで、欠かせない施策となるのがメールマーケティングです。
本記事では、メールマーケティングの役割や具体的な手法について解説します。

 

メールマーケティングとは?

メールマーケティングとは、Eメールを活用して見込み顧客とのコミュニケーションを図るマーケティング手法です。1990年代に登場した「メール広告」が最古のメールマーケティングといわれており、デジタルマーケティングにおける古典的かつ代表的な手法として知られています。
メールマーケティングの役割は、Eメールによるコミュニケーションを介して見込み顧客との信頼関係を築き、購買意欲を高めて顧客へと昇華することです。
マーケティング活動では「リードジェネレーション(見込み顧客の獲得)」→「リードナーチャリング(見込み顧客の育成)」→「リードクオリフィケーション(見込み顧客の選別)」というプロセスを経て、受注確度の高い見込み顧客を抽出します。
この見込み顧客を獲得・育成・選別する一連の戦略を「デマンドジェネレーション」と呼び、その中で見込み顧客を育成する手法のひとつとしてメールマーケティングが活用されます。
メールマーケティングには様々な種類があります。
たとえば、自社商品・サービスのホワイトペーパーをダウンロードしたユーザは、すでに自社の商品やサービスに一定以上の関心を示している見込み顧客と考えられます。このような見込み顧客に対して、メールマガジンを通じて商品やサービスの利点を伝えることで、購買へと導く可能性が高まります。
さらに、見込み顧客を顧客へと昇華した後も、継続的なコミュニケーションを通じて既存顧客をロイヤルカスタマーへと育成することが重要です。
これにより、LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)の最大化を目指すことがメールマーケティングの本質的な目的となります。

 

メールマーケティングの種類

メールマーケティングの具体的な手法としてあげられるのが以下の6つです。

 

1. メールマガジン

メールマガジンは、企業のニュースレターやプロダクト情報の提供などを目的としたメールマーケティングの手法です。企業の最新ニュース、新たにリリースされる商品やサービスの情報、イベントの告知、お得なキャンペーン情報などを定期的に配信し、継続的なコミュニケーションを図ることで見込み顧客の購買意欲を醸成します。
メールマガジンは、メールの開封率やクリック率を分析することで、継続的な改善を行い、コンテンツの品質と成約率の向上を期待できます。
メールの配信頻度が多すぎたり、セールス色が強すぎたりすると、登録解除のリスクもありますが、適切に運用することで顧客接点の強化と信頼関係の構築に欠かせない手法となります。

 

2. ステップメール

ステップメールは事前に設定したシナリオに基づいて自動的に配信されるメールです。
この仕組みにより、指定した順序とタイミングでメールを配信することができ、手動作業を省略しつつ、見込み顧客の属性や購買意欲に応じたリードナーチャリングを実行することが可能です。
たとえば、自社の資料請求をしたばかりのユーザと、すでに自社商品やサービスを購入した経験があるユーザでは、それぞれに適したコンテンツが異なります。こうしたユーザの属性に応じてステップメールを使い分けることで、より効果的な見込み顧客の育成し、選別することができます。

 

3. パーソナライズドメール(レコメンドメール)

パーソナライズドメールは、ECサイトの閲覧履歴や購入履歴に基づいて、ユーザに適したコンテンツを選定する「レコメンドシステム」を活用したメールマーケティングの手法です。
この手法では、顧客一人ひとりの興味や関心に合わせた商品やサービスを提案するため、「レコメンドメール」とも呼ばれることがあります。
一般的なメールマガジンは、顧客リストに対して一斉に同じコンテンツを配信しますが、これでは顧客エンゲージメントの異なるユーザに対して個別化された提案ができません。
一方、レコメンドメールは見込み顧客に対して個別化されたコンテンツを配信することができるため、よりパーソナライズされたアプローチが可能です。
その結果として、不特定多数に向けたメールマガジンと比較すると高いコンバージョン率が期待されます。

 

4. ターゲティング(セグメント)メール

ターゲティングメールは、特定の属性を持つターゲットに向けてメールを配信する手法です。顧客リストを「年齢」「性別」「職業」「年収」「居住地」などでセグメント化し、特定のグループ専用に作られたメールを送信します。
たとえば、地域限定のキャンペーンをその地域の見込み顧客だけに告知したり、若年層向けのコスメプロモーションを20~30代の女性に限定して配信したりと、精緻なターゲティングが可能です。
これにより、画一的な内容を一斉送信するメールマガジンに比べて、送信先は少なくなるものの、コンテンツが見込み顧客のニーズにより合致しやすく、精度の高い効果的なアプローチが実現できます。

 

5. リターゲティングメール

リターゲティングメールとは、ユーザーの行動情報に基づいて特定のターゲットにメールを配信する手法です。
たとえば、「ECサイトで商品をカートに入れたものの購入に至らなかった」、または「特定のWebページにアクセスした」などの行動情報がメール配信のトリガーとなります。
具体的には、自社製品の無料トライアルを体験したが成約に至らなかったユーザに対し、1カ月後にフォローアップメールを送信するというアプローチが可能です。プロダクトに対する興味・関心を失う前に再度アプローチすることで、見込み顧客の再訪問や購買を促進する効果が期待できます。

 

6. 休眠発掘メール

休眠発掘メールは休眠顧客に対して配信するメールです。休眠顧客とは、過去に商談や取引などの機会を得たものの、現在は長期間にわたって顧客接点が途絶えている見込み顧客や既存顧客を指します。
見込み顧客や既存顧客が休眠化した原因はそれぞれ異なりますが、適切なアプローチを行えば再び顧客となる可能性もあります。
長期間アクションがない休眠顧客の興味や関心を再び引きつけ、再エンゲージメントを図ることが大切です。商品やサービスに対して一度は関心を持っていた顧客にアプローチするため、新規顧客を獲得するよりも低コストでの案件化が期待できます。

 

メールマーケティングのメリット

ここでは、メールマーケティングの推進によって得られるメリットについて詳しく解説します。

 

費用対効果が高い

メールマーケティングのメリットは、比較的低予算でリードナーチャリングを進められる点です。見込み顧客を育成する手法としては、ハガキやチラシを用いたダイレクトマーケティングがあります。
ダイレクトマーケティングは広告の自由度が高く、視覚的に訴求できるという利点がありますが、用紙代、デザイン制作費、印刷費、発送準備の費用、配送費などのコストがかかります。
一方、メールマーケティングは紙媒体に関連するこれらの費用が不要で、低予算で見込み顧客にアプローチできるのが特徴です。
また、また、ターゲットとするのは会員登録済みのユーザや資料請求済みのユーザ、過去に商談機会を得たユーザなど、自社に対して何らかのアクションを起こした見込み顧客です。このため、コンバージョン率が高く、CPA(Cost Per Action/Cost Per Acquisition:顧客獲得単価)の削減も期待できます。

 

効果測定を行いやすい

メールマーケティングのもうひとつのメリットは、効果測定が容易である点です。市場動向の変化が加速し、顧客ニーズが多様化する中で、マーケティング施策の効果を測定し、継続的な改善を行うことが重要です。
しかし、紙媒体を主体とするダイレクトマーケティングでは、物理的な制約やタイムラグがあるため、施策の成果を正確に測定するのは難しいです。
メールマーケティングでは、メールマガジンの開封率やURLのクリック率、コンバージョン率などをリアルタイムで集計することができます。
これにより、定量的なデータ分析に基づいて施策を修正・調整することが可能です。
また、異なる2つのパターンを用意して成果の高い方を選ぶA/Bテストも容易に実施でき、顧客理解を深めながら費用対効果の高い施策を確立できます。

 

見込み顧客へ適切なアプローチを行える

見込み顧客の属性に最適化されたアプローチが可能な点も、メールマーケティングのメリットです。
たとえば、顧客関係を一元管理するCRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)ツールや、マーケティング活動を総合的に支援するMA(Marketing Automation:マーケティングオートメーション)ツールなどを活用することで、見込み顧客一人ひとりにパーソナライズされたメールを簡単に配信できます。
これにより、顧客のニーズに合致したコンテンツを最適なタイミングで届けることができ、効果測定と改善を重ねることで、コンバージョン率を向上させ、施策の費用対効果を高めることが期待できます。

 

メールマーケティングのデメリット

メールマーケティングは見込み顧客の育成に欠かせない手法ですが、いくつかの注意点や懸念事項が存在します。
ここでは、メールマーケティングのデメリットについて詳しく解説します。

 

短期的な効果は望めない

メールマーケティングの役割は、見込み顧客の育成と既存顧客をロイヤルカスタマーにすることですが、このプロセスは一朝一夕で成果を期待できるものではありません。
さらに、配信頻度が高すぎたり、セールス色が強いコンテンツは、配信解除を招く可能性があります。
そのため、ユーザーにとって有益なコンテンツを提供し、信頼関係を構築することを最優先にする必要があります。
また、継続的なコミュニケーションを通じて購買意欲を高めるためには、中長期的な戦略が欠かせません。

 

コンテンツ作成に時間・手間がかかる

メールマーケティングでは、パーソナライズされたアプローチが可能ですが、費用対効果の高いコンテンツを継続的に作成するのは簡単ではありません。
たとえば、ターゲティングメールでは、特定の属性に合わせたメールマガジンを配信できます。
しかし、これを実現するためには、各グループの需要動向を詳細に分析する必要があります。
そして、属性別の顧客エンゲージメントに応じたコンテンツの作成は、相応の時間と手間を要し、さらに体系化された高度なノウハウが求められます。

 

【5つのステップ】メールマーケティングの実施方法

メールマーケティングの基本的な実践プロセスは、「目的・目標の明確化」「配信リストの選定」「コンテンツの作成」「効果測定」「施策の改善」という5つの工程を段階的に進めていくのが一般的です。

 

1. 目的・目標を明確にする

メールマーケティングは、目的や目標によって施策が異なるため、具体的なゴールの設定が必要です。
たとえば、「配信したメールから成約に至った売上高100万円」「メールを受信したユーザからの資料請求数10件」などのKGI(Key Goal Indicator:重要目標指標)を明確化し、
その達成に必要な中間目標となるKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)を設定します。
例として、「配信したメールを経由しての売り上げ数100個」がKGIなら、それに対応するKPIは「メールの開封率25%以上」「製品ページに誘導するURLのクリック率3%以上」などです。

 

2. 配信リストを選定する

ホワイトペーパーをダウンロードした企業や名刺交換をした担当者、アンケートに回答したユーザーなど、これまでに自社と接点のあった見込み顧客をリスト化します。
その上で、ステップメールやターゲティングメールを効果的に活用するためには、顧客リストの属性を絞り込むプロセスが必要です。
すべての顧客リストに一斉送信するメールマガジンは、広範な情報提供には適しているものの、ターゲットが広すぎるため高いコンバージョン率は期待できません。
そこで、見込み顧客に対して個別化されたアプローチを推進する際には、顧客リストを「資料請求済み」「会員登録済み」「無料トライアル体験済み」などの属性に分類し、配信リストを選定する必要があります。

 

3. メール・コンテンツを作成する

配信リストの選定後は、メールマガジンのコンテンツ作成に取りかかります。
この際には、見込み顧客の「年齢」「性別」「職業」「居住地」といったデモグラフィックデータを活用することはもちろん、
「趣味」「嗜好」「生活習慣」「価値観」などのサイコグラフィックデータを掘り下げて、詳細なペルソナを設計する工程が不可欠です。
さらに、カスタマージャーニーマップを用いて、製品の認知から購買に至るフローを可視化し、見込み顧客の潜在的な需要や購買心理をしっかりと分析することで、コンバージョン率の高いコンテンツを作成することができます。

 

4. メールを配信し効果を測定する

メールマガジンを配信した後は、設定したKPIを測定し、中間目標の達成度合いを定量的に分析するプロセスが極めて重要です。先述したようにメールマーケティングでは短期的な成果を期待するのが難しいため、「Plan(計画)」→「Do(実行)」→「Check(評価)」→「Action(改善)」のPDCAサイクルを回し続ける継続的な改善が欠かせません。
たとえば、「開封率25%以上」「製品ページに誘導するURLのクリック率3%以上」といったKPIの達成度を評価・分析し、その知見を次回の施策に活かすことが重要です。

 

5. 測定結果を反映させて改善する

たとえば、「開封率25%以上」のKPIが未達成の場合には、メールマガジンのタイトルを改善することや、送信する時間帯を見直すことが必要です。
また、「製品ページに誘導するURLのクリック率3%以上」に届いていない場合には、CTA(Call to Action)の配置の工夫や、購買意欲を刺激するマイクロコピーの研究などの対策が必要です。
こうしたKPIの達成状況に基づいて課題や改善点を抽出し、継続的な品質改善を図ることで、コンバージョン率の高いコンテンツを作成するノウハウが徐々に蓄積されていきます。

 

まとめ

メールマーケティングは、メールを通じて顧客との関係を構築するための効果的なマーケティング手法です。
メールマーケティングの推進には、CRMツールやMAツールなどの活用が欠かせません。
セラクCCCはSalesforceの認定パートナーとして最高位のExpert 認定を取得しており、定着・活用支援においてトップクラスの実績と豊富な人材(コンサルタント)を有しています。
この豊富な実績から培ったノウハウを活かし、お客様のメールマーケティングを組織と人材の面から強力にサポートいたします。
また、お客様の状況に合わせて、リモートや常駐、運用の内製化など柔軟な対応が可能です。ぜひ、お気軽にご相談ください

Salesforceでお悩みなら、
まずはお気軽に
お問い合わせください

この記事の執筆者

*

株式会社セラクCCC

株式会社セラクCCCは、Salesforceをはじめとするクラウドシステムの定着・活用支援を担うカスタマーサクセス企業です。
Salesforce Navigator プログラムの【Managed Services】分野のExpert認定の詳細はこちら

当社は、セラク(東証スタンダード上場)のグループ会社です。

  • TOP
  • コラム一覧
  • メールマーケティングとは? 種類やメリット、実施方法を解説