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【無料テンプレート付き】カスタマージャーニーマップの作成手順と注意点

2025年06月19日

  • BtoBマーケティング
  • マーケ知識
  • 営業DX

はじめに

カスタマージャーニーマップは、顧客理解を深め、効果的なマーケティング施策の立案に役立つフレームワークです。
しかし、顧客視点からずれていたり、情報収集が不十分だったりする場合、マップの精度が低下する可能性があります。
そこで本記事では、カスタマージャーニーマップの作成手順や作成時の注意点などを解説します。

 

カスタマージャーニーマップとは

カスタマージャーニーマップとは、顧客が商品やサービスを認知し、購入・登録に至るまでの行動や心理を時系列で整理したマップのことです。カスタマージャーニーと呼ばれるのは、顧客の一連の行動を旅と捉えているためです。実際に顧客が商品を認知してから購入に至るまでには、いくつもの行動とさまざまな感情がともないます。
商品の購入を例に取ると、顧客はまずWeb上で商品を認知し、口コミサイトを閲覧しながら他の製品と比較します。その後、実際に店舗を訪れて商品を手にとって確認し、最終的に商品の購入へと至ります。顧客の感情は認知段階では期待感に溢れていますが、購入直前には「この商品でいいのか」と不安感も抱くこともあります。
商品やサービスの内容によっては、カスタマージャーニーマップのゴール(目的)は異なり、顧客の行動や感情は複雑なものになります。
こうしたプロセスを丁寧にマッピングし、顧客の行動や心理の変遷を理解することで、より効果的なマーケティング戦略を立案することが可能です。
カスタマージャーニーマップの詳細についてはこちら(カスタマージャーニーマップとは?作り方やテンプレートを紹介)を参照ください。

 

カスタマージャーニーマップの種類

カスタマージャーニーマップは、「マクロ型」「ミクロ型」「シナリオ型」「その他(サークル型・スペース型)」の4種類に分けられます。それぞれに特徴があるため、特定の目的や状況に応じて使い分けることが重要です。
ここでは、カスタマージャーニーマップの種類について詳しく解説します。

 

マクロ型

マクロ型のカスタマージャーニーマップは、顧客がブランドや製品と関わるマーケティングの全体的な流れを把握するための形式です。顧客の意識から購入、アフターサポートに至るまでの主要な消費プロセスをタイムラインで整理し、各段階での顧客の行動、感情、タッチポイントを示します。
これにより企業は、顧客体験を全体的に理解し、改善点を特定することが可能です。

 

ミクロ型

ミクロ型のカスタマージャーニーマップは、顧客の個々の行動や感情を詳細に分析し、その体験を理解するための貴重なフレームワークです。このマップは、顧客が製品やサービスとどのように関わり、その過程でどのような感情や課題を抱えるのかを明らかにします。
とくに、何度も商品を購入するような顧客を分析するのに有効で、初回購入や継続購入の各段階で不満を抱く要因を明確にし、改善の手助けをします。

 

シナリオ型

シナリオ型のカスタマージャーニーマップは、MA(マーケティングオートメーション)やCMS(コンテンツマネジメントシステム)などのマーケティングフレームワークに登録することを目的とした、顧客育成シナリオの策定に役立ちます。
この形式のマップを使用することで、企業は顧客がどのような情報に関心を示し、どのタイミングで反応するかを把握しやすくなります。それに基づいて、適切な情報提供やコミュニケーションが実現でき、成功率を向上させることが可能です。

 

その他のかたち

前述の3つのカスタマージャーニーマップは時系列で整理されるタイムライン型です。その他にサークル型(ホイール型)やスペース型のカスタマージャーニーマップがあります。

サークル型は、円形にマップを作成し、顧客の消費行動を時計回りに書き出す形式です。利用サイクルが循環するサービスや商品には、タイムライン形式ではなくサークル型が適しています。
たとえば、顧客が継続利用や定期的に退会と再入会を繰り返すサブスクリプションサービスでは、顧客の一連のプロセスをサークル形式で表現できます。

スペース型では、マップを擬似的な地図として表現し、顧客の行動を俯瞰的に観察します。顧客との接点や移動経路を明確にしたい場合にはとくにスペース型が効果的です。リテール業界の顧客体験を例に取ると、顧客が店舗に入店し、商品を選び、レジを通過し、退店するまでの経路を空間上にマッピングします。
こうして顧客の動線や行動パターンを可視化することで、サービス改善や効果的なプロモーションの計画に活かすことが可能です。

 

カスタマージャーニーマップを作るべきタイミング

新規企画を立案する際やビジネスの変化期には、カスタマージャーニーマップの作成が効果的です。マップを通じて顧客の行動パターンを把握し、成功のための戦略を練られます。それぞれのタイミングについて詳しく解説します。

 

新規企画を立案するとき

新商品の開発や新しいイベントを立ち上げる際には、カスタマージャーニーマップを活用して顧客へのアプローチを検討することが有効です。新規企画の多くは売上増加や集客の成功を目的としています。そのため、顧客がどのように消費行動を取るのかを理解することで、企画を成功に導くための効果的な戦略を立てられます。
たとえば、新しいマーケティングキャンペーンを計画する際に、顧客がキャンペーンを知り、興味をもち、行動に移すまでのプロセスをマップにすることで、効果的なコンテンツやタッチポイントを設定できます。

 

通常のマーケティングの過程

通常のマーケティング活動においてもカスタマージャーニーマップの作成は有効です。日々のマーケティング活動に活用することで、顧客が商品やサービスとどのように関わり、どのような感情や課題を抱えているのかを深く理解できるようになります。
たとえば、商品の購入を検討する段階で顧客が「さらに詳しい情報がほしい」と感じていることがわかれば、パンフレットやホームページに詳細な情報を掲載するなどの対策を講じることが可能です。顧客視点に立った施策の立案が可能となり、顧客満足度の向上にもつながります。
また、顧客の離脱防止やロイヤル顧客の育成にも効果が期待できます。
顧客の行動やニーズに合致した効果的な施策の実行が可能であれば、マーケティング活動にかける予算は同じでもより多くの成果を上げられます。

 

テンプレートを使ったカスタマージャーニーマップの作成手順

この記事では、付属のテンプレートを使ってカスタマージャーニーマップを作成できますので、ぜひ以下よりダウンロードして活用ください。
シンプルで使いやすいテンプレートは、以下のリンクからダウンロード可能です。

 

カスタマージャーニーマップのテンプレート

 

 

カスタマージャーニーマップを作成する際は、「ペルソナの作成」「フレームの作成」「顧客の行動・感情・目的などの記載」「施策の記載」「情報のマッピング」の5つの手順で行います。それぞれ詳しく解説します。

 

手順1.ペルソナの作成

ペルソナとは、自社の商品やサービスを利用する架空の顧客像のことです。ペルソナを作成する方法としては、顧客インタビューやアンケート調査を通じて実際の顧客の声やデータを収集することが効果的です。
また、既存の顧客データや行動分析を活用し、顧客の特性や嗜好を詳細に分析することも大切です。

BtoCの場合、ペルソナは消費者の年齢層、性別、職業などの基本属性に加え、趣味嗜好や購買行動などを基に作成します。
たとえば、20代の女性をターゲットにしたファッションブランドの場合、彼女のファッションへの関心やライフスタイル、ショッピングの好みを具体的に描写します。

BtoBの場合、ターゲットとなる企業の業種や、顧客が担当する職種、役職、スキル、経験などを明確にします。さらに、顧客の情報収集の方法や意思決定のプロセスといった行動パターンを具体的に設定し、顧客が抱えている課題や潜在的なニーズを探ります。

たとえば、IT企業のマーケティング担当者を想定する場合のペルソナとしては、以下のような人物像が考えられます。

 

  • ・29歳の男性マーケティングマネージャー
  • ・大学卒業後、IT企業に入社して6年間のマーケティング経験がある
  • ・役職者として上司からのプレッシャーも大きい
  • ・SNSやオンラインコミュニティでの情報収集に積極的
  • ・データに基づいた意思決定を心がけている
  • ・マーケティング施策の効果測定に課題を抱えている

 

実際には、前述した情報に加えて保有資格やスキル、性格・思考タイプなども踏まえると、よりリアルなペルソナ設定が可能です。

 

手順2.カスタマージャーニーマップのフレーム作成

ペルソナを作成したあとは、その顧客像を想定してカスタマージャーニーマップを作成します。一般的には横軸に時間軸を設定します。
たとえば、商品の購買プロセスであれば、認知から比較・検討、購入、購入後のサポートまでの段階を設定します。縦軸には、顧客の心理、行動、企業とのタッチポイント、企業が取るべき施策などを整理できる項目を設定するのがオススメです。

 

手順3.顧客の行動や感情、目的などを記載

フレームを作成したあとは、各項目を記載していきます。買い物をする際にどのメディアで商品を認知するか、購入方法はどうするか、その時々でどのような感情を抱いているかなどを具体的に書き出していきます。この際、作成したペルソナの視点からブレないよう注意が必要です。

顧客の行動や感情を書き込んだ後は、企業の目的を記載していきます。先ほどの例で言えば、「商品認知のために顧客に合ったデジタル広告を展開し、購入意欲を高めること」です。
また、「顧客満足度向上のためのアフターサービスの充実化」も目的としてあげられます。

 

手順4.施策の記載

施策は、フェーズごとにタッチポイントとコンテンツ例に分けて書き込むと整理しやすくなります。実行中の施策から記載すると、スムーズに進めることが可能です。
たとえば、顧客が商品を認知するフェーズでは、以下のような記載が考えられます。

 

  • ・タッチポイント:メールマガジン配信、SNSでの投稿
  • ・コンテンツ例:新製品の紹介、最新の特典情報、関連するWebサイトへのリンク

 

このように、各フェーズでのタッチポイントと提供するコンテンツを具体的に書き出すことで、実施計画を明確にできます。

 

手順5.情報のマッピング

集めた情報を元にして、カスタマージャーニーマップをマッピングしていきます。マーケティング部門だけでなく、営業や商品企画、カスタマーサービスなどさまざま部署から意見を集めて参考にすることも大切です。各方面からの専門知識を取り入れることで、より包括的で精度の高いマップが作成できます。

マッピングする際の注意点として、ダウンロード版のパワーポイントやエクセルのテンプレートは共同編集ができません。そのため、チームでの情報共有に適したクラウドストレージに保存することをオススメします。
これにより、チーム全体でリアルタイムに情報を共有し、編集できるようになります。

 

カスタマージャーニーマップ作成時の注意点

カスタマージャーニーマップを作成する際は、他部門との連携や顧客視点での作成、必要に応じたバージョンアップなどを行います。
ここでは、カスタマージャーニーマップを作成するうえでの注意点について、それぞれ詳しく解説します。

 

専門部門だけでなく他部門も連携して作成する

カスタマージャーニーマップの作成には、マーケティング部門だけでなく営業や開発など他の部署との連携が重要です。営業部門は顧客との直接の対話から得られるフィードバックを提供し、開発部門は製品やサービスの実際の機能や課題を理解し、それらを踏まえた改善を行います。
こうした各部署の異なる視点や専門知識を組み合わせることで、必要な情報を網羅し、よりリアルで客観性のある包括的なマップが作成できます。

 

ユーザ視点で作成する

カスタマージャーニーマップは顧客の行動や思考、気持ちの変遷を可視化するためのフレームワークです。そのため、マップ作成時には常に顧客の視点に立つことが重要です。
ペルソナを設定する際に、理想的な顧客像を想定してしまうと、実際の顧客の姿とは異なるマップになるおそれがあります。
この場合、企業は顧客の実際の行動や感情を見誤る可能性があり、効果的な改善策を見つけることが難しくなります。そのため、ペルソナの設定は客観的なデータや顧客フィードバックに基づき、現実の顧客体験を正確に反映したマップ作りを心がけることが大切です。

 

必要に応じてバージョンアップする

カスタマージャーニーマップの作成は一時的なものではなく、継続的にバージョンアップする必要があります。ビジネス環境は常に変化しており、新たな技術の登場や市場の変化によって顧客のニーズも変わるため、作成したマップは定期的に見直しや修正が必要です。
また、担当者の主観や思い込みでマップを作成すると、実際の顧客行動との乖離が生じ、マップの精度が低下する場合もあります。客観的なデータや顧客フィードバックに基づき、複数の部署が協力してマップを更新し、現実の顧客体験を正確に反映することが重要です。

 

まとめ

カスタマージャーニーマップは顧客体験の全体像を把握し、効果的なマーケティング戦略を立案するために必要です。
はじめて作成する際には、顧客視点を意識して客観的なデータや情報を参考にすることが大切です。今回紹介したテンプレートを活用し、ぜひ自社のマーケティング活動に役立ててみてください。
もし、自社では難しいと感じた場合にはセラクCCCにご相談ください。
セラクCCCはSalesforceの認定パートナーとして最高位のExpert 認定を取得しており、定着・活用支援においてトップクラスの実績と豊富な人材(コンサルタント)を有しています。この豊富な実績から培ったノウハウを活かし、お客様のマーケティングを組織と人材の面から強力にサポートいたします。
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