活用事例詳細

NTT東日本株式会社

5,800人規模で進めるSalesforce活用! NTT東日本が挑んだ“データドリブン文化”_現場ですぐに活かせる実践的ワークショップで、文化変革を実現

  • Salesforce
  • 定着・活用支援
  • 運用(管理者)支援
  • 情報通信業
  • 5,000名

東日本エリア17都道県で事業を展開するNTT東日本様。グループ全体で約3.4万人の社員を擁し、長年にわたり光回線や電話回線の提供を通じて地域社会の課題解決に取り組まれています。同社は現在、従来の通信インフラ事業から、法人顧客の多様な課題に対応するソリューション提案型事業へ、という大きな転換点に立っています。

今回は、「地域循環型社会の共創」というパーパス実現に向けた「データドリブン経営」推進の一環として実施されたセラクCCCの「営業マネージャー向けワークショップ」について、ビジネスイノベーション本部で営業DX推進を担当する三野様、石川様、東条様、セラクCCCのSalesforce活用コンサルタントも交えてお話を伺いました。

 

 

導入の背景:

従来の高品質で安定した通信インフラの提供に加え、地域の課題解決や価値創造に取り組んでいくために、新事業ステージ移行に向けたデータドリブン経営・営業の推進が急務となる。Salesforce導入から2年経過した今も、組織間で定着率に格差が存在。属人スキルに頼らない営業手法の定着にむけ、営業現場への浸透を担う営業マネージャー層への実践的なマネジメント手法習得が必要になった。

 

導入の効果:

商談重要項目の投入率が36%向上。営業マネージャーの意識変革により「データを活用した案件マネジメント」という具体的な行動変容が生まれた。現場主導のデータ活用事例が、各支店で自発的に増加したことにより、組織全体のデータドリブン営業への転換が加速した。

未来への事業変革に向け5,800人規模でのSalesforce運用へ

―まず、貴社が現在直面されている事業環境の変化について詳しくお聞かせください。また、その変化がSalesforce導入にどのように結び付いたのでしょうか。

 

石川様:

弊社は東日本エリア17都道県で長年、光回線や電話回線の提供・拡大を通じて地域社会の課題に取り組んでまいりましたが、事業エリア内の光回線の普及率は99%を超え、事業ステージを移そうとしています。当社のサービスを使っていただく地域社会の課題は山積みで、地域の持続なくして、当社の持続はありません。
この状況を受けて、弊社は「地域循環型社会の共創」をパーパスに掲げ、地域の価値創造企業として、「SOCIAL INNOVATIONパートナー」を目指しています。
そのための手段として、DX・データドリブン経営が重要な位置づけとなり、CRM(顧客関係管理)/SFA(営業支援システム)がそのコアとなるツールという認識に至りました。
実は、弊社では以前から別のSFAシステムを導入していましたが、根本的な問題がありました。営業担当者は日々の活動報告は入力するものの、「顧客がどのような課題を抱えているのか」、「その課題にはどのような背景があるのか」といった、顧客の課題解決につながる情報をCRMやSFAに蓄積し、そのデータを活用するという文化が不足していました。極端に言えば「日報ツール」になってしまっていたのです。
その結果、事業変革を迫られた際に、我々には蓄積データという有効な武器がありませんでした。過去に、データ運用のための独自システムを使ったこともありましたが、過度なカスタマイズによりシステムとしては使いやすいが、自分たちの業務にとって都合のいい情報しか蓄積されなかったという苦い経験もあります。
この反省をふまえ、システムを刷新するにあたっては、今回は自社の独自性を追求するのではなく、こちらの業務プロセスをシステムの標準機能に合わせる「Fit to standard」なアプローチを採用すべきという判断に至りました。そして世界標準として広く活用されているSalesforceを選択することで、世の中のベストプラクティスを取り入れながら、真のデータドリブン営業を実現していくことにしたのです。

 

―貴社のような大企業でのSalesforce活用において、どのような導入体制を構築されているのでしょうか。また、各担当者様の役割についてもお聞かせください。

 

東条様:

会社全体でSalesforce Sales Cloudの利用者は約8,700人、法人営業組織全体で5,800人という規模での導入となりました。その他、Tableau、Account Engagementも活用しています。
導入時から法人営業のトップである執行役員をオーナーに据え、法人企画のトップをリーダーとして、本社と現場間の強固な推進体制を構築しました。現場側では、事業エリア全域から部門ごとの営業責任者を現場推進リーダーに任命し、200名規模のワーキンググループ体制を整備しました。
私自身の主な役割は、Sales Cloudの運用定着推進です。各現場で確実に活用できるよう、各組織の成功事例を定期的に展開しています。また、現場の営業マネージャーが集まってワーキングを行う「スクラム活動」という体制も整え、実際に現場で困っていることをヒアリングしながら継続的な改善を進めています。

 

石川様:

スクラム活動は、現場の生の声を聞きながら改善を続けていくものです。実際に何に困っているのかを直接ヒアリングできるため、実態に即した改善策を検討することができます。この活動を通じて、後に重要な課題も浮き彫りになってくることになりました。

 

導入2年で定着率6~7割到達も蓄積情報を営業活動に生かすという真の定着を前に壁。営業マネージャー層で止まる改善サイクル

―Salesforce導入以降、得られた成果と明らかになった課題とはどのようなものだったのでしょうか。

 

石川様:

導入から約2年が経過し、予実管理が着実になったことに加え、資料作成や集計などの業務について年間5万4000時間の時間削減など一定の成果は確認できました。営業現場では、商談状況のリアルタイム可視化により、受注予定日が過去日付となっている商談を80%以上削減できるなど、明確な改善効果が現れていました。
しかし、投入率や定着率には組織間で大きな濃淡が存在していました。KPIとして重要10項目の投入率を継続的に測定していますが、全体で7割近くまでは到達しているものの、残り3割の底上げが課題となっていました。

 

東条様:

数値としては7割近くに達していましたが、本質的な問題がありました。各組織の担当者も、投入率が管理指標として監視されていることを理解しているため、ある種の強制力が働いている側面があったのです。つまり、真のモチベーションに基づく活用には至っていませんでした。
感覚値として、イノベーション普及理論でいうアーリーマジョリティまでは定着していましたが、一部の社員が義務的に入力している状態です。我々が目指すのは、モチベーション高くデータを投入し、それを営業活動のアウトプットに活用し、最終的に顧客への価値向上につなげるという一連の流れの構築だったのです。

 

石川様:

より深刻だったのは、未定着組織における構造的な課題でした。スクラム活動を通じて継続的に課題をヒアリングして成功事例や改善手法を展開しても、情報蓄積や活用の価値を実感できていない営業マネージャーが多いことが分かったのです。
そのため、Salesforceに投入された重要情報が見過ごされたり、Salesforceとは別のExcel活用による二重管理の発生などにより余計な負担がかかるというケースが存在していました。

 

セラクCCCの外部知見を用い、明日から使える実践的なプログラム創出に挑戦

―こうした課題解決のために、なぜ外部パートナーへの委託という手法を選択され、その研修方法としてワークショップを採用されたのでしょうか。

 

石川様:

様々な社外専門家と情報交換を重ねる中で、我々が常に意識していたのは「自社は特殊だから仕方ない」という思考の罠に陥らないことでした。実際に多くの企業が同様の課題に直面しているのです。それを社内に理解してもらうために、外部の専門家が優良事例を「これは一般的な成功パターンです」と伝えることで、受容性が大幅に向上すると考えました。

ワークショップを選択した背景には、これまでの経験からの学びがありました。過去に外部講師による講演会は数多く設けてきましたが、概念的な議論に終始してしまい、参加者から「実際の営業活動にどう活かせばよいのか」という声が寄せられていました。我々が求めていたのは、営業マネージャーがすぐに実践できる、具体性の高い内容です。
そのため、社外専門家の方々には「アカデミックな内容ではなく、実際の営業事例に基づいた、実効性の高いプログラムをお願いします」とお伝えしていました。

 

三野様:

現場のマネージャー層が抱える課題は非常に多岐に渡り負担も大きいです。高い目標が設定され、チームメンバーのモチベーション維持や案件マネジメントの強化が求められている中で、具体的なアドバイスをどのように実践していけばいいのか悩みを抱えている営業マネージャーが多い状況にありました

そのような状況において、適切に整理された顧客情報や案件情報がSalesforceに蓄積されていれば、「このようなアプローチができそうですね」「次回の商談でこの点を確認してください」といった具体的な指導ができるようになります。そうした実践的なマネジメント手法を体得してもらうことが、ワークショップの主要な目的でした。

 

東条様:

ベテラン営業担当者が抱える孤独感も大きな課題でした。顧客から会社の代表として様々な相談を受けながらも、社内での相談先が明確でなく、経験豊富であるがゆえに周囲に相談しにくいという状況が生まれています。

そうした悩みを可視化し、営業マネージャーとの効果的なコミュニケーションを実現するためのツールとしても、Salesforceを活用することが重要だと考えていました。ワークショップでは、そうした活用方法を実際の商談データを用いて体験してもらいたかったのです。

 

―そのような重要局面で、セラクCCCをパートナーとして選択された経緯と、ワークショップ実施に向けた協働プロセスについて詳しくお聞かせください。

 

石川様:

セラクCCCさんとは、もともとSalesforceの定着・活用支援業務においてスポット的な協力関係を築いており、継続的な相談をしてきた経緯があります。技術的な課題や細かな要請にも柔軟に対応いただいており、そうした支援の積み重ねが今回のワークショップ実施につながったという流れです。
特に決め手となったのは3点あります。
まず、弊社の組織課題やニーズを社内事情も含めて深く理解いただいていたこと。
2つ目は、業界全体の動向や他社のベンチマーク事例に関する豊富な知見をお持ちだったこと。
そして3つ目が、驚くほどのスピード感と実行力でした。

 

三野様:

特に印象的だったのは、困難な要求に対しても「対応不可能」という回答ではなく、「このようなアプローチであれば実現可能です」という建設的な提案を常にいただけたことです。
しかも、そうした提案を非常に迅速に具体化してくださる実行力がありました。他社との比較検討においても、最終的なアウトプット提示までのスピードが圧倒的に優れていました。

 

セラクCCC Salesforce活用コンサルタント:

弊社内でチームを編成し、データ活用の重要性と必要性を参加者の皆様に理解・共感いただくためには、どのようなコンテンツを構築すべきかという観点で、まず、全体的なフレームワークをご提案させていただきました。お打ち合わせを重ねるほどに、加速度的にアイデアがブラッシュアップされていきました。「お任せで」とおっしゃる企業さんも多い中で、こちらからの一方的な提案ではなく、コンテンツをさらに洗練させるために様々なご意見をいただき、真に協働でコンテンツを作り上げることができました。

 

―ワークショップ実施においては、どのような反響がありましたか。

 

石川様:

5日間のワークショップを予定していたのですが、初回実施後のアンケート結果は非常に厳しいものでした。営業マネージャーの貴重な時間を拘束して実施する以上、「今すぐ実務で活用できる内容」を持ち帰ってもらうことは絶対条件でした。その期待に応えられていないという結果を深刻に受け止めました。
厳しい評価は、ワークショップの本来の意図である「データ活用による実践的マネジメント手法の習得」ではなく、細部の運用条件や例外的なケースに関する議論に時間が割かれてしまい、参加者が我が事化ができなかったことが原因でした。「実際の営業現場とは条件が異なる」といった指摘が多く出て、本質的な学習から逸れてしまったのです。
即刻、セラクCCCさんと改善検討の場を設けました。課題点を具体的に整理して相談したところ、リアルタイムでのアジェンダガイダンス調整など翌日セッションへの即座の改善をご提案いただき、翌日以降のセッションでは評価が大幅に改善されました。セラクCCCさんの親身で柔軟なご対応には本当に感謝しています。

 

セラクCCC Salesforce活用コンサルタント:

ワークショップ内のグループワークの成果発表において、初回は参加者の皆様がどの程度具体的な内容を発表されるか、また、オンライン環境でどのような場の雰囲気になるかを事前に予測することが困難でした。
しかし、実際にグループワークに参加させていただき、リアルタイムでフィードバックをいただけたことで、翌日以降のセッションでは即座に改善を反映することができました。

営業マネージャー層のデータ活用に対する本質的価値理解が生んだ真の意味での文化変革

―ワークショップの成果について、定量的効果と定性的変化の両面から詳しくお聞かせください。

 

石川様:

まず、本ワークショップや現場支援などの取組みを実施した結果として、定量的な成果の部分で我々が重点的に推進している「大型商談の重要10項目」すべての入力率が昨年末時点で40%でしたが、現在は80%近くまで向上しました。
これを組織別でみると、10項目全てを100%入力している組織数は25%増加しました。
これらの成果は、多角的な取り組みの積み重ねによるものではありますが、今回のワークショップがその中でも特に重要な触媒的役割を果たしたと評価しております。

 

しかし、それ以上に価値があったのは、参加者の根本的な意識変化でした。最も印象的だったのは、ある部門長のコメントです。
「これまで何度もマネージャー、担当者に対してSFA投入の重要性を説いてきましたが、なかなか行動変化につながりませんでした。
しかし、今回のワークショップに参加して、情報の蓄積度合いが高まれば高まるほど、より適切で効果的なネクストアクションを導出できることを身をもって体験できました。
そのため、配下のメンバーに対して、参加したその日のうちに具体的な指示を出すことができました

 

三野様:

このコメントは、まさに我々が理想として描いていた変化を具現化したものです。従来の「投入すること自体が目的化」していた組織において、データ活用の本質的価値を理解し、即座に行動変容につなげた事例として非常に意義深いと考えています。

 

東条様:

私は、継続的な活用状況を確認するため実際に現場を訪問した際に、あるマネージャーが「営業担当者との1on1面談の際に、ワークショップで使用した資料を常に持参し、参考資料として活用している」と話してくれたことが印象的でした。単発的なイベントで終わらず、日常的な業務プロセスに組み込もうとしていることが伝わりました。意識が変化している証左だと考えています。

 

石川様:

現在も継続中のスクラム活動においても、具体的な変化が現れています。実際の商談内容をベースとしてデータを活用し、受注につながった成功要因や失注に至った原因分析を共有する取り組みが始まっています。また、ワークショップで実践した、商談情報の投入項目をもとにしたネクストアクションの検討を営業担当者とともに実施するといった事例が、各組織で増加し始めています。これらは上位職からの指示によるものではなく、現場の営業マネージャーが自らの意思で開始した取り組みであり、真の意味での文化変革の兆候だと捉えています。

 

―今回、ワークショップを構成する際に、NTT東日本様特有の課題や業界特性を踏まえ、心がけたことについて教えてください。

 

セラクCCC Salesforce活用コンサルタント:

NTT東日本様のケースでは、定性データに対する高度な解釈力が求められていました。つまり、単純に「データが入力されていない」という定量的な問題ではなく、「どの程度の詳細度で、どのような観点の情報が蓄積されているか」を営業マネージャーが適切に評価し、それに基づいて部下に対する具体的な指導を行うという、非常にレベルの高い取り組みだったのです。
実際のワークショップにおいても、参加者の皆様から「この程度の情報量・粒度では有効なアドバイスができない」「このレベルの詳細情報があれば、こういった具体的指示が可能になる」といった、極めて実践的で高度な気づきが数多く発表されました。

 

石川様:

これは弊社の事業転換、つまり、現在注力している法人顧客に対する地域課題解決型のソリューション提案と深く関連しています。
従来の電話回線は「通話したい」という明確な目的がありましたが、現在の事業では、お客様自身も明確に認識していない課題を発見し、それに対する最適解を提示することが求められます。地域の様々な課題を抱える企業様に対して、真の課題解決パートナーとしての価値を提供するためには、競合他社との差別化が不可欠です。
そのためには、お客様の置かれた状況、背景にある考え方、潜在的なニーズを深く読み取る必要があります。こうした事業の本質的要求があるからこそ、蓄積された情報を的確に解釈し、効果的なネクストアクションにつなげていくためのSalesforce活用が重要な意味を持つのです。

 

セラクCCCとのパートナーシップの深化による継続的な価値創出への期待

―今後のデータドリブン経営推進に向けた展望と、セラクCCCに期待されることをお聞かせください。

 

石川様:

今回の協働を通じて、セラクCCCさんには単なるサービス提供者としてではなく、真の戦略的パートナーとしての価値を感じています。我々が何を必要としているかを深く理解し、ご提案いただける関係性が構築できたと考えています。
我々の最終的な目標は、蓄積された情報を活用して営業活動の質的向上を実現し、地域の課題を解決することです。現場の営業担当者に対して、データ投入に対する明確な対価として、より直接的でメリットが実感できる価値、つまり「即座に活用可能な武器」を提供することが不可欠なのです。
その実現に向けて、セラクCCCさんには外部の客観的視点から率直な評価をお願いしたいと考えております。「この取り組みは推奨しません」「これは業界最先端の事例です」「これが現在の主流です」といったリアルなご意見を、遠慮なく聞かせていただける関係性を期待しています。

 

東条様:

営業担当者の業務負荷が増大している現在の環境下では、効率化や業務負荷軽減も並行して推進する必要があります。多数の企業様を支援されているセラクCCCさんの豊富な知見を活かして、我々の取り組みにアドバイスをいただければと思います。

 

セラクCCC Salesforce活用コンサルタント:

NTT東日本様とは、「壁打ち」のような形で率直な意見交換を行える関係性を築くことができています。今回のワークショップも、一方的なサービス提供ではなく、真に協働でコンテンツを創り上げることができました。
お客様を深く理解することを重視してきたセラクCCCとして、今後もサポートを提供させていただきます。

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お客様プロフィール

企業名

NTT東日本株式会社

事業内容

東日本地域における地域電気通信業務及びこれに附帯する業務、目的達成業務、活用業務

公式サイト

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