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Salesforceの価値を最大化する“定着化”の重要性  ~2社が考える定着・活用とは?~

2023年04月13日

  • Salesforce
  • 対談

はじめに

株式会社セラクは、株式会社セールスフォース・ドットコム主催の「Salesforce Partner Summit 2021」において、Partner Award「Top Certification of the Year」を受賞。パートナープログラムに参加する国内500社以上の企業の中から選定された。サブスクリプションモデルの生命線ともいえる“定着化”に特化したセラク。なぜ“定着化”が重要なのか、本記事ではSalesforce社とセラクのキーマン同士の対談を再現。両社の強固なパートナーシップ、について語り合った。

 

日本におけるSalesforceを取り巻く環境

――まずは、Salesforce様にお聞きします。日本におけるSalesforceを取り巻く状況についてお聞かせください。どうしてここまで市場を席巻するに至ったのでしょうか。

 

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原田:我々が提供しているのはサブスクリプションサービスで、言うなれば“始めやすくて止めやすいもの”です。従って、使い続けていただかなければ成立しないビジネスではありますが、現在、おかげさまで売り上げが伸びているということは、お客様が価値を感じてくださり、使い続けて頂いている証拠であるとは思っています。

 

現在も、お客様が増え続けている理由は2つあると思っています。1つは、我々のコーポレートバリューが受け入れられているという点です。創業者であるマーク・ベニオフは、「ビジネスは社会を変えるための最良のプラットフォームである」と述べています。

 

我々のビジネスは、社会が上手くいっていて投資予算があって初めて成立します。この考え方のもと、Salesforceは創業時から社会貢献活動に注力し続けています。株式の1%、製品の1%などを活用して社会に貢献するという活動を創業時から続けていますが、そこに共感を持ってくださっているユーザーもたくさんいらっしゃいます。

 

2つ目は、我々のメインプロダクトであるCRMが、現在の世の中にとてもフィットしているという点があげられます。スマートフォンの機能向上と普及等もあり、人とデジタルの接点の密度が高まり、人の動きやデータの収集が容易に可能となりました。

 

また、近年では顧客接点が多様化しています。店舗だけでなく、ネットやLINEなど多岐にわたるチャネルからいらっしゃった顧客データの一元管理も必要です。すなわち、あらゆる産業においてデータ活用の重要性は高まっており、そこに我々の製品であるCRMがニーズにドンピシャで合致したために、我々は成長できていると思います。

 

インタビュー画像03

 

井上:ご存じのように企業のDX化が叫ばれています。これまでも紙で管理していたお客様情報を社内で共有しやすくするためにITツールの活用は検討されていましたが、昨今、新型コロナウイルスの影響もありさらにその動きは加速しています。
一気にリモートワークの時代になり、離れた場所にいながらチームで協力して働くために、クラウドでお客様の情報をシェアしながら使えるシステムということで、ニーズがより高まってきていると思います。

 

セラクから見たSalesforce市場の勢い

――セラク様にお聞きします。パートナー企業から見て、このSalesforce様のイキオイをどのように分析されますか。支援先企業様、現場の声を交えながらご説明ください。

 

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安部:実際にSalesforceを使っているか使っていないかはさておき、多くの企業がSalesforceを知っているという網羅率はとても高いと思います。知らない人はほとんどいないと思います。

 

我々が2008年頃から使い始めて、顧客情報管理システムや商談管理を見ていました。今までエクセルなどで管理していたものがSalesforceでできるということをセミナーで知り、役員は世界観に惹かれて、すぐにうちでも使おうと決め、導入しました。

 

そしてSalesforceを使ってお客様の情報や商談の管理をしていましたが、それらは全体の業務の中ではとても限られた要素でしかありませんでした。それが徐々にマーケティングや、コールセンターのユーザー、複合機や自動販売機を担当するフィールドエンジニアなど、営業の枠を大きく越えて、ビジネスの網羅性の高い製品をリリースされています。

 

そこから“すごいな”という目線から、“Salesforceに付いていかなければ置いて行かれる”という意識がユーザー側にも芽生えてきたように思えます。

 

製品が良いのも分かっていて、難しそうだということも感じているけれども、Salesforceを使わないという選択肢は取れません。Salesforceというシステムは、企業内でもインフラになりつつあるので、Salesforceを使っている競合に置いて行かれるのではないかという焦りは、お客様のコメントからも感じます。我々から見ても脅威を感じますし、Salesforceは非常に大きく特別な存在だと思います。

 

――進化が激しく、Salesforceに付いていけなくなってしまうと感じるお客様がいる製品というのは、おそらく世の中にはあまりないと思います。その辺りはどのように感じていますか。

 

原田:これは本質的な課題ですね。システムを作る、システムを使うという観点からすると、Salesforceは相対的に容易です。しかし、IT自体がそもそもとても難しい。例えばレゴブロックを組み立てるように誰でもできるかというとそうはいきません。もともと難しいものをできるだけ簡単にしてありますが、しかしそれでもやはり一定程度は難しいので、ある程度きっちりと学習していかなければ使いこなせません。なので我々は極力難易度を下げて、学ぶ方々は一生懸命に勉強していただく。そうして距離を縮めていくことが、ITを活用していくうえでは重要なことです。

 

その距離が縮まってきているかというと、まだまだ距離があります。なので、Salesforceを使いこなせる知見を学習して、理解されている方々がお客様のそばでサポートするということがとても重要になってきます。

 

「Customer 360」とは。
定着化との関係性、パートナー企業の役割、期待

――Salesforce様にお聞きします。貴社が掲げる「Customer 360」についてお聞かせください。どうして、このような考え方、戦略が必要なのか。定着化との関係性、パートナー企業の役割、期待などをお聞かせください。

 

原田:デジタルを介した顧客接点が多様化しています。その顧客接点のカバー範囲を我々は広げていっています。それが「Customer 360」製品群です。パートナー様の位置づけの観点で言いますと、我々は最大公約数の製品は自分たちでなんとかしていますが、お客様ごとに欲しいものは違います。それを埋めてくれているのがAppExchangeパートナー様のプロダクト群です。AppExchangeのプロダクトのおかげで、カバー範囲は劇的に広がります。それが製品ラインナップ観点の「Customer 360」です。

 

Salesforce Customer360

 

※Salesforce Customer360

 

製品が多様化してきますと、関わっていくパートナー様の得意分野も、必要な素養もバラバラになっていきます。例えばデジタルマーケティングが理解できる人と、営業プロセス管理が得意な人、コールセンターのオペレーションができる人ではバックグラウンドが全く違います。色々な強みをもったパートナー様にSalesforceを知ってもらいたいですし、多種多様なパートナー様に各々の専門分野を活かして活躍して頂きたいと思っています。デジタルマーケティング等の業務の話に加えて、業界のカテゴリもあるので、細分化していくとものすごい専門分野の数になります。ですから、各々の領域において知見のあるパートナー様と共にビジネスを進めていく必要があります。

 

Salesforce パートナーマップ

 

※Salesforce パートナーマップ

 

井上:業種や業務領域などセグメントごとに製品機能や提案内容を分けることはよくありますが、我々はお客様を中心において、お客様の行動をベースにして課題を解決するために製品を埋めていくという発想も重要と考えています。業種や業務領域だけでなく、お客様を中心にして課題を解決するためにサービスを作っているのが新しいと思います。

 

そういう意味で我々のCustomer 360は、サービスを提供する上で重要な指針となります。そしてそれをベースとして、検討できていない課題を解決していくと考えているので、重要視すべきものだと思っています。

 

――セラク様にお聞きします。この「Customer 360」の考え方に共感するポイント、理由などをお聞かせください。

 

安部:Salesforceは顧客接点をキーワードとされており、ありとあらゆるコミュニケーションのポイントとなっていて、“顧客接点に欠かせない存在”という状況になっています。その分、製品のラインナップも増えていますし、 業界特有のナレッジも必要になってくるので、我々のようなコンサルティングパートナーができるだけ早く、隙間を作ることなく追従していかなければならないという課題感や使命感を感じます。

 

Salesforce社が考える“定着化”とは?

――セラクは、定着化という側面からSalesforceを支えるパートナーとなっていますが、そもそもSalesforceが考える“定着化”とはどのようなものでしょうか。

 

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原田:“定着化”はとても重要です。私たちにとっての生命線と言っても過言ではありません。定着しなければお客様は止めてしまうので、売上成長の大前提は定着することにあります。なので定着化をしていただくように促すことは、No.1プライオリティと言ってもいいほど重要だと思っています。

 

定着という言葉にはいくつかの要素があります。まずは、使いやすい状態でスタートができることです。そして使っていく過程で、例えば業務が変わったときに変更ができることです。また、使っていくうちに出てくる利用者からの要求にすぐに応えられることです。これら全てが“定着化”です。あらゆるフェーズにおける“定着化”が我々にとってはとても重要で、それを担ってくれているのがまさにパートナー様です。

 

“運用保守”と“定着化”の違いとは?

――Salesforceのパートナーは、様々なフェーズにおいてかかわりがあります。例えば導入部分を担うパートナーが“運用保守”という言葉を使いますが、“定着化”とは少々意味合いが違うという感覚でしょうか。

 

原田:いわゆるSI事業を営んでいる企業は、導入フェーズでお客様の要望を全て聞いて、それを全て叶えて納品するサービスを提供してます。なので基本的に、“これならば使える”という状態を作り上げてお客様にお渡しをすることに慣れています。このように“使える状態にして渡す”“それを運用保守する”ことに強みを持っている会社が、日本のIT産業の中では大半を占めています。

 

一方で、我々の製品はクラウドなので、新しい機能やサービスがどんどんリリースされます。なので、それを使って何ができる、それを使うともっとできることが増えるという状況変化に慣れている会社は、歴史的に少ないです。

 

――最初の時点では使いこなせているかもしれませんが、どこかで“あれ?もっと活用できないかな?”と感じるところが出てくるかもしれないということですね。

 

原田:業務もやりながら変わりますし、使っているうちに「もっとこうしてほしい」という要望もたくさん出てきますよね。その要望に柔軟に応えていけるのがSalesforceの利点なのですが、きめ細かに現場のニーズに応えながら対応する必要があります。

 

例えば、リモートワークをするためにモバイルで業務を進める必要が生じたという要望がありました。初期の導入の際にはモバイルをターゲットにしていなかったので、後から機能を追加しました。このように、使いながらお客様に合わせていくというのが我々の得意なところです。

 

――変化とともに生まれる要望に対してきちんと寄り添えるような立ち位置にいるパートナーというのは、十分に足りているのでしょうか。

 

原田:十分かというとそう多くはないように感じています。作って納める事を生業とし導入工程を担っている歴史のあるSIer様たちにも、“定着化”が重要だということはお伝えしていますし、一定のご理解も頂けているとは思っています。しかし、セラクさんのように、そこにいち早く気づき、定着化や活用支援をビジネスの中心に据えて取り組んで頂いているパートナー様は多くありません。

 

“定着化”を実現するには

――貴社の中でも“定着化”が重要だと理解しているし、それも伝えているけれども、それをきちんと理解している会社ばかりではないということですね。しかしセラクはそこにしっかりと向き合っているという点が大きな違いですね。

 

井上:定着化や活用支援は、もちろん以前から重要な要素でしたが、直近ではより重要性が高まっていると感じています。我々は、「Customer 360」という概念を実現させるために製品を増やしていて、直近ではSlackを買収しましたが、より対象の業務領域が増えていき、たくさんの製品を同時に実装するような難しい案件が増えていきます。

 

また、嬉しいことに我々のサービスを使っていただけるお客様が増えていますが、その分これまでITツールを使われたことがないお客様も増えており、購入いただいたサービスを上手にご利用いただく上で、定着化・活用支援の重要性は高まっています。

 

我々自身もカスタマーサクセスチームを持っていまして、お客様のご支援はしっかりとさせていただいていますが、全てのお客様のニーズに応えるにはパートナー様の力が必要と考えています。そのビジネスチャンスを逃さなかったのがセラクさんですね。

 

安部:定着化が重要だと認識しているもののプレイヤーが少ないというのは、誰が悪いという話ではないと思っています。まず第一に、ポジティブな意味で、Salesforce各種製品の導入が年々伸び続けていることです。毎日どこかの企業が新たに契約をされて、使い始めているシステムだと思います。

 

なので初期導入を担当されるコンサルティングパートナーは、その仕事でいっぱいいっぱいになっていて、定着化をしようと思ってもすぐに新しいお客様が待っているので、どんどんそちらに行かざるを得ないのだと思います。

 

システムの定着化支援・運用支援はずっと見守り続ける必要があるので、優秀なコンサルタントや上級SEを常時張り付けなければならないというのは、SIerからするとビジネスロスになります。要するに、誰もが重要だと思っているけれども、なかなか手を出せず、リソース含めやり切れる可能性が無さそうな領域に、我々が守りの運用保守ではなく攻めのカスタマーサクセスという形に変換し、目を付けたというのは確かです。

 

製品導入~定着・活用までの概念図

 

※製品導入~定着・活用までの概念図

 

Salesforceを導入した瞬間というのは、関わった関係者からすると“プロジェクトを完了した達成感”があります。しかし、あくまでその時点で必要な機能が実装された段階なので、2~3日で定着するシステムではありません。3年、5年、10年と使っていくシステムなので、初期導入の完了は山で言うところの5合目にすら立っていません。ようやく山のふもとからスタートするタイミングです。ですので、とても長く関係性を保ちながら攻め続ける定着活動は重要だと思っています。

 

Salesforce社とセラクでのSalesforce定着化への取り組み

――両社にお聞きします。Salesforce定着化領域において、両社はどのように連携し、どのような取り組みを行っているのでしょうか。

 

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原田:我々の製品は、顧客接点をより多くカバーするほど価値がでます。なので営業支援の仕組みにデジタルマーケティングが入ればより価値がでますし、加えてカスタマーサポートが入ると顧客データがひとつにまとまり、さらに価値が出ます。
Salesforceはより広い範囲で使っていただくほど価値がでるものだと我々は思っています。そういう意味で、たくさんの業界と業務のマスを複数カバーする方々がとても大切になっていきます。1つではなく2つ、2つではなく3つ知っている人の価値は劇的に高いです。
そういう方々をどんどん輩出していかなければ、お客様に価値が届きません。そういう意味で、人材の育成に投資をしてくださっているセラクさんに、もっとSalesforceの価値が出せる人材の育成や投資を加速していただけると、より両社の向いている方向が一致をして、さらに成果が出ると思っています。

 

井上:ITシステムというのは、もともと導入時に大きなイニシャルコストがかかり、その後は運用保守をするというものでした。ところが我々のサービスはサブスクリプションモデルなので、導入がスタートとなり、そこからお客様と話しながら改善していく必要があります。

 

我々は主に製品を販売する立場としてお客様と接しますが、セラクさんはお客様の中に入り込まれて、実際に業務の推進をしていただく中で変化していくお客様の課題や要望を把握されています。

 

真のCustomer 360を実現するには、導入時だけなく、導入後の全ての期間を通してお客様の課題や要望に応えていく必要があると考えていますので、ぜひセラクさんと協力して実現していきたいです。

 

セールスフォース・ドットコム社CSGとセラクの定着・活用支援について

 

※セールスフォース・ドットコム社CSGとセラクの定着・活用支援について

 

安部:先ほどセールスフォースさんが仰ったようにセールスフォースさんにはカスタマーサービス専門の部署があり、日々有益情報の発信やイベントを実施され、定着活用のためのノウハウをお客様に提供されています。ただ、その有益情報を受け取った後、どう社内で実行していけばいいかわからない企業が多く存在しているのも事実です。そこで図にあるように当社のカスタマーサクセス部隊が『お客様側に入り、お客様側の視点・立場』でSalesforce運用を推進します。このようなタッグでの支援をどんどん増やしていきたいと思っています。

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