コラム詳細

Salesforceカスタム通知の設定をフローとApexに分けて詳しく解説

2025年08月01日

  • Salesforce
  • 使い方
  • 設定・管理

はじめに

Salesforceでは、カスタム通知を活用することで、業務プロセスの進捗や承認依頼などの重要な情報を、リアルタイムでユーザーに伝えることが可能です。とくに、情報共有のスピードと確実性が求められる営業や経営企画の現場では、通知のタイミングが意思決定や対応の質に大きく影響します。
本記事では、カスタム通知の設定について、「フロー」と「Apex」という2つの実装方法に分けて詳しく解説します。設定手順や注意点も細かく書かれているので、Salesforceの運用担当者はもちろん、導入を検討中の営業企画・経営企画部門の方にも、活用の具体像がつかめる内容です。Salesforceを効果的に活用するヒントとして、ぜひご覧ください。

 

Salesforceのカスタム通知設定は主に2種類ある

Salesforceでは、ユーザーへの通知を柔軟にカスタマイズできる機能があり、主に「フローを使用する方法」と「Apexで実装する方法」の2種類があります。これにより、業務の進行状況や承認依頼など、必要な情報をリアルタイムに届ける仕組みを構築できます。また、画面右上に表示されるベルマークの通知で、視覚的にわかりやすく情報を伝えられるのが特徴です。次の項目からは、それぞれの手法の特性や適用シーン、具体的な設定手順について詳しく解説します。

 

方法1.「フロー」でカスタム通知を設定する方法

「フロー」を活用することで、業務プロセスに応じた柔軟なカスタム通知を自動化できます。ここでは、通知の種類を定義し、フローを用いて通知を送信する方法をステップごとに解説します。

 

  1. 1. カスタム通知種別を作成する
  2. 2. フローを作成する
  3. 3. 通知先の設定を行う
  4. 4. カスタム通知種別の取得を設定する
  5. 5. アクションを設定する

 

1.カスタム通知種別を作成する

カスタム通知種別を作成

フローから通知を送信するには、あらかじめカスタム通知の種別を作成しておく必要があります。

 

▼手順

 

  1. 1. 設定メニューから「通知ビルダー」を開く
  2. 2. 「カスタム通知」を選択し、「新規」ボタンをクリック
    ※クイック検索で「カスタム通知」と入力して検索する方法もある
  3. 3. 「カスタム通知名」および「API参照名」を設定
    ・「カスタム通知名」には、通知を識別しやすい名称を設定する
    ・「API参照名」には、システム上で参照するための名称を設定する
  4. 4. 通知の表示先を選択
    通知を表示するデバイス(デスクトップまたはモバイル)のいずれか、あるいは両方を選ぶ
  5. 5. 設定内容を保存
    設定が完了したら、内容を確認のうえ、保存する

 

2.フローを作成する

フローを作成

 

通知を送信するために、フローを作成します。ここでは、レコードの更新時に通知する「レコードトリガーフロー」を例にします。

 

▼手順

 

  1. 1. 「設定」>「プロセスの自動化」>「フロー」を開く
    ※クイック検索で「フロー」と入力して検索する方法もあります
  2. 2. 「新規フロー」ボタンをクリック
  3. 3. 「最初から開始」を選択し、「次へ」をクリック
  4. 4. 「レコードトリガーフロー」を選択して「作成」をクリック
  5. 5. トリガー対象のオブジェクト(例:「ToDo」や「商談(カスタム)」など)を指定
  6. 6. トリガーを設定(例:「レコードが更新された」)
  7. 7. 条件(例:StatusがCompletedに変更された)を設定
  8. 8. 「フローを最適化」オプションで「アクションと関連レコード」を選択
  9. 9. 「保存」をクリックし、任意の名称を付けて保存

 

3.通知先の設定を行う

通知先の設定 A変数作成

 

通知先の設定B割り当て作成

 

通知の受信者を、フロー内で指定します。

 

▼手順

 

  1. 1. 画面左側、「開始」の下の「即時実行」と「終了」の間の「○」にカーソルを移動
  2. 2. クリックして「要素を追加」から「割り当て」を選択
  3. 3. 表示ラベルおよびAPI参照名を入力
  4. 4. 「変数値を設定」の「変数」枠をクリックし、「+新規リソース」から変数を作成
    ・リソース種別:変数
    ・データ型:テキスト
    ・通知先が複数の場合は「複数の値を許可(コレクション)」にチェック
  5. 5. 作成した変数に対して、「追加」演算子で「値(ユーザーID)」を設定
    ※通知対象ユーザーは、条件に合致するユーザーIDをレコードから抽出して追加することも可能

 

4.カスタム通知種別の取得を設定する

カスタム通知種別の取得を設定

 

フロー内でカスタム通知種別のIDを取得し、通知の送信に利用します。

 

▼手順

 

  1. 1. 「要素を追加」から「レコードを取得」を選択
  2. 2. オブジェクトには「カスタム通知種別」を指定
  3. 3. 条件設定:項目「DeveloperName」、演算子「次の文字列と一致する」、値「Custom_Notification」(作成済み通知種別のAPI参照名)などとする
    ※今回の例では、一意に取得することを目的としているため、他の条件設定は不要
  4. 4. 取得した結果は、次で述べる通知送信アクション内で参照
    ※カスタム表示ラベルやカスタムメタデータ型にAPI参照名を登録しておくと、環境間の移行時に便利です。

 

5.アクションを設定する

アクションを設定

 

通知を送信するための「アクション」要素を設定します。

 

▼手順

 

  1. 1. 「要素を追加」から「アクション」を選択
  2. 2. 「カスタム通知を送信」と検索し、該当アクションを選択
  3. 3. 「表示ラベル」および「API参照名」を入力
  4. 4. 各項目を以下のように設定
    ・カスタム通知種別 ID:ステップ4で取得した通知種別レコードのID
    ・受信者 ID:ステップ3で作成した変数を指定
    ・通知タイトル・通知本文:任意の文言を入力、またはテキストテンプレートを使用
    ・対象 ID:通知クリック時に開くレコード(例:$Record.Id)を指定
  5. 5. 最後にフローを保存し、「有効化」して完了

 

方法2.Apexでカスタム通知を送信する方法

Salesforceでは、Apexという専用のプログラミング言語を用いることで、カスタム通知を送信します。以下の手順に従って設定を行います。

 

  1. 1. カスタム通知種別を作成する
  2. 2. 開発者コンソールからコードを記述する

 

Apexについては、こちら(Salesforceのプログラミング言語 Apex(エーペックス)とは?)をご参照ください。

 

1.カスタム通知種別を作成する

カスタム通知種別を作成する

 

カスタム通知種別の設定手順は、前述のフローと同様です。以下の手順に従って作成してください。

 

▼手順

 

  1. 1. 設定メニューから「通知ビルダー」を開く
  2. 2. 「カスタム通知種別」を選択し、「新規」ボタンをクリック
    ※クイック検索で「カスタム通知」と入力して検索する方法もあります
  3. 3. 「カスタム通知名」および「API参照名」を設定
    ・「カスタム通知名」には、通知を識別しやすい名称を設定する
    ・「API参照名」には、システム上で参照するための名称を設定する
  4. 4. 通知の表示先を選択
    通知を表示するデバイス(デスクトップまたはモバイル)のいずれかを選ぶ
    ※モバイル端末にも通知を表示させる場合は、「モバイル」にもチェックを入れる
  5. 5. 設定内容を保存
    設定が完了したら、内容を確認のうえ、保存する

 

2.開発者コンソールからコードを記述する

開発者コンソールからコードを記述

 

Apexでカスタム通知を送信する方法は、開発者コンソールを使用することで簡単に実行できます。まず「開発者コンソール」を検索して開き、次に指定されたコードを記述します。

 

▼コード例

 

// 1.カスタム通知タイプIDを取得(存在チェック付き)
CustomNotificationType notificationType;
try {
notificationType = [
SELECT Id
FROM CustomNotificationType
WHERE DeveloperName = ‘Your_Notification_Type_API_Name’
LIMIT 1
];
} catch (Exception e) {
System.debug(‘通知タイプが見つかりません: ‘ + e.getMessage());
return;
}

 

// 2.通知オブジェクトを作成
Messaging.CustomNotification notification = new Messaging.CustomNotification();

 

// 3.通知内容を設定
notification.setTitle(‘通知タイトル’);
notification.setBody(‘通知メッセージ本文’);
notification.setNotificationTypeId(notificationType.Id);

 

// 4.ターゲット(クリック時の遷移先)を設定(任意)
if (someRecordId != null) {
notification.setTargetId(someRecordId); // 例: 特定のレコードID
}

 

// 5.受信者を設定
Set<String> recipientIds = new
Set<String>{
‘005XXXXXXXXXXXX’, // 実在するユーザーIDを指定してください
‘005YYYYYYYYYYYY’
};

 

// 6.通知を送信
try {
notification.send(recipientIds);
System.debug(‘カスタム通知が正常に送信されました。’);
} catch (Exception e) {
System.debug(‘カスタム通知の送信に失敗しました: ‘ + e.getMessage());
}

 

参照:Salesforce|CustomNotification クラス

 

フロー・Apexでの実装後のイメージ

実装イメージ

フローやApexでカスタム通知を実装し、設定が正しく行われていれば、画面右上のベルマークに通知が表示されます。
実際の例としては、レコードの更新、ケース所有者のユーザー変更などが即時に反映され、ベルマークが赤丸表示になります。この機能は、実務においても幅広く活用できるでしょう。

 

まとめ

Salesforceでカスタム通知を設定する方法には、「フロー」と「Apex」の2つのアプローチがあります。フローは、通知の種類や受信者を視覚的に設定できるため、ノーコードで自動化を実現できます。一方、Apexを使えば、開発者コンソールを使用することで簡単に実行できます。いずれの方法も、ベルマーク通知を活用することで、重要な情報をリアルタイムに伝達でき、業務効率の向上に貢献します。
セラクCCCでは、Salesforceの導入から運用の定着まで、企業のニーズに応じたきめ細かな支援を提供しています。Salesforceの活用をさらに推進したい方は、ぜひ無料相談をご活用ください。

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この記事の執筆者

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株式会社セラクCCC

株式会社セラクCCCは、Salesforceをはじめとするクラウドシステムの定着・活用支援を担うカスタマーサクセス企業です。
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