よくある課題
Salesforceを導入したけどうまく使えていない
Tableauを活用できる人材を増やしたい
AIを使ってSalesforce活用に関する悩みを解決したい
コラム詳細
はじめに
Salesforceを利用していると、データベース内にある取引先といったデータが重複していることに気付くときがあります。データの重複を放置していると顧客管理が正確に行えなくなるだけでなく、同じ顧客に何度もアプローチをしてしまい、営業活動も非効率になるおそれがあります。この状況を打開するうえで助けになるのが「名寄せ」です。
この記事では、営業や企画のSalesforce担当者に向けて、Salesforceでの名寄せの方法を詳しく解説します。
「名寄せ」とは、もともとは金融業界で使われていた用語で、金融機関内に存在する複数口座をひとつの口座に統合することを意味しています。そこから転じて、データベース内の重複データをひとつにマージ(統合)することを指すようになりました。たとえば、名前や電話番号、メールアドレスなどが重複した顧客情報リストがあれば、同じものをまとめてひとつにすることを指します。
「名寄せ」は、単に統合するという意味だけでなく、重複しているデータを特定して整理・統合するという一連の作業を意味する場合もあります。
取引先オブジェクトで個人の取引先と企業の取引先の両方を管理していると、どちらにも重複リストが発生する場合があります。Salesforce内のデータで名寄せの対象となる個人と企業のそれぞれについて、名寄せとは何か、そしてその必要性について解説します。
個人の名寄せとは、データベース内に複数存在している個人リストを同一人物として特定し、データを統合することです。たとえば、「山田太郎」と「山田タロウ」「山田 太郎」という3つのリストが、すべて同一人物であるケースがあります。個人の名寄せをすれば、この3つのリストをひとつに集約して正確な情報へと訂正できます。
営業のコンタクトデータを正確に管理するためにも、個人の名寄せは重要です。
企業の名寄せも、基本的には個人の名寄せと同様です。データベース内にある重複した企業情報を統合して、ひとつにまとめます。取引先や仕入れ先など企業単位での正確なデータ管理には、企業の名寄せはとても重要です。重複した情報をまとめたり、正しくない会社情報を訂正したりすることで、法人営業の効率化を進められます。
企業の名寄せは個人の名寄せに比べて、統合する難易度が高いです。その理由のひとつは、「株式会社」と「(株)」、社名の英語表記とカタカナ表記など、表記ゆれが発生しやすいためです。会社の合併や社名変更、会社移転などのために、新しい情報と古い情報が混在していることもあります。同一企業であっても複数の事業所や支店を有している場合は、異なる住所が別のリストとして掲載されているケースもあるため、注意が必要です。
Salesforceで名寄せを行うには、以下の3つの方法があります。それぞれについて、具体的な方法を解説します。
最も一般的なのは、Salesforceの「一致ルール」「重複ルール」を使用する方法です。
「一致ルール」とは、「どの項目が一致した場合に重複とみなすか」という基準を定義するものです。たとえば、「取引先名が完全に一致している」「メールアドレスが完全に一致している」といった条件を設定します。
「重複ルール」は、一致ルールで見つかった重複に対してどのようなアクションを実施するかを定義するものです。たとえば、新規レコードを作成する際、一致ルールで重複と判別された場合にアラートを出す、重複の恐れがあるレコードを保存できないようにする、などの設定ができます。
Salesforceにはデフォルトの一致ルール・重複ルールがそれぞれ用意されていますが、カスタマイズも可能です。
重複ルールと一致ルールの設定方法については、こちら(Salesforceのデータ重複を防ぐ 重複ルールと一致ルールの設定方法)をご参照ください。
2つめは、SalesforceからデータをCSVファイルでエクスポートし、Excelを利用して重複データを特定する方法です。Excel上でマージや削除対象のレコードを特定してデータを整理したら、修正したデータを再度Salesforceにインポートして更新します。
この方法のメリットは、Excel上で管理できるため比較的簡単に行える点です。Excelは多くの企業で使われているため導入のハードルが低く、費用をかけずに行いたい場合にも適しています。
また、さまざまなExcel関数を駆使することで複雑な条件設定も可能で、処理の自由度が高いことも魅力です。
デメリットとしては、とくに大企業がSalesforceを大規模に運用している場合、対応に多くの工数と時間がかかる点が挙げられます。誤ってデータを編集・削除してしまうリスクもあり、データ破損の可能性には十分な注意が必要です。
また、リアルタイム性に欠けているので、複数人での同時編集には向いていません。修正したデータをインポートする際には、データを一括で扱うクライアントアプリケーションのデータローダが必要な点もデメリットといえます。
3つめは、Salesforce AppExchangeで提供されているサードパーティ製の名寄せアプリを利用する方法です。Salesforceのデフォルト機能だけでは対応しきれない場合や、Excelでの管理が厳しい場合に推奨されます。
名寄せアプリを利用するメリットは、精度の高い名寄せができることです。AI技術を活用し、会社名や住所、電話番号などいくつもの情報を組み合わせてデータを分析し、企業を正確に特定できるものもあります。自動マージ機能により、時間や工数をかけることなく効率的にクレンジング作業を行えます。
デメリットは、ライセンス費用がかかることです。料金体系や金額はアプリやプラン、利用する機能などによって異なります。予算を設定したうえで、サービス内容をよく確認して選びましょう。
Salesforceで名寄せを実施する際には、以下のようにいくつか気を付けたいことがあります。
名寄せを実施して重複が見つかった場合に、どのレコードを正しいものとして残し、どの情報を訂正・削除するかルールを決めておくことが必要です。基準となるルールの例は、レコード作成日が古い・新しい、最終更新日が新しい、情報が最も多く入力されている、などが挙げられます。
また、「企業名・住所・電話番号が合っていれば他の項目が違っていても同一とみなす」など、データをまとめる条件も設定しておきます。
名寄せ作業を行う前に、必ず対象となるオブジェクト(取引先・リード・取引先責任者など)のデータをエクスポートし、バックアップを取得しておきましょう。
Salesforceにはシステム障害に強い構成が採用されていますが、万が一の事態に備えておくことは大切です。データをインポートする際に誤ってデータを上書きしてしまったり、意図しない設定の変更によりデータが保存できていなかったりということが起きるかもしれません。Salesforceでは、データ保護の責任は利用する企業側にあります。
名寄せをする際には、意図しないマージやデータ削除が発生したとしても元の状態に戻せるように、バックアップを取っておくと安心です。
本番環境で名寄せを実施する前に、必ずSandboxで事前に検証して問題がないかどうかチェックしましょう。主なチェック事項は以下の通りです。
本番前に仮想環境でテストしておけば、問題がないことを事前に確認できます。
テスト後に本番環境で実施する際も、想定外の障害が発生しても対処できるように、段階的に実施するのがオススメです。システムに大きな変更が一度に加わると、予期せぬ事態が発生する恐れがあるからです。
名寄せを段階的に実施すれば、万が一の場合にもデータのロールバックを比較的容易に行えます。少ない対象データから始めることで、データ破損のリスクや誤ったデータ統合による影響などを最小限に抑えられます。
名寄せをする際には、実施前・実施後のどちらも関係者に知らせておきましょう。名寄せ前には、実施スケジュールや作業により想定される影響(一時的な利用制限の可能性)について、関連する部署やユーザーに説明して理解と合意を得ておきます。本番前の事前検証をした際には、その結果も必要な部署に報告します。実施後には関係部署に改めて終了の報告を入れましょう。
まとめ
Salesforce内のデータは、「一致ルール」や「重複ルール」を使用したり、データをエクスポートしたりすることで名寄せができます。この記事で取り上げたやり方や注意点を参考にして、データを正確かつ最新の状態に保ちましょう。
Salesforceの名寄せに関して不明点がある場合は、ぜひセラクCCCにご相談ください。セラクCCCでは、専門コンサルタントがSalesforceの導入・運用・活用・定着支援をしています。Salesforceのさまざまな課題に対応可能なサポート体制が整っているので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
Salesforceでお悩みなら、
まずはお気軽に
お問い合わせください
この記事の執筆者
株式会社セラクCCC
株式会社セラクCCCは、Salesforceをはじめとするクラウドシステムの定着・活用支援を担うカスタマーサクセス企業です。
Salesforce Navigator プログラムの【Managed Services】分野のExpert認定の詳細はこちら
当社は、セラク(東証スタンダード上場)のグループ会社です。
Salesforceでお悩みなら、
まずはお気軽に
お問い合わせください