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コラム詳細
はじめに
SalesforceのCRM(Customer Relationship Management)ツールには「アインシュタイン(Einstein)」というAIが搭載されています。AI機能を活用することにより、セールスやサービス業務の効率化が実現し、組織全体の生産性向上が期待できるはずです。
本記事では、Salesforce「アインシュタイン(Einstein)」にできることや主な機能、価格について解説します。
また、2024年以降にはAI統合基盤「Einstein 1 Platform」や、対話型の生成AIアシスタント「Einstein Copilot」が本格実装されました。これらのAIツールが持つ特徴や活用メリットに関しても詳しく紹介します。AI技術を活用して顧客管理を最適化したいと考えている企業担当者様は、ぜひご参考ください。
アインシュタイン(Einstein)とは、SalesforceのCRMツールに組み込まれているAI(人工知能)機能群です。アインシュタイン(Einstein)は、予測分析や自然言語処理などの技術を活用し、業務の最適化を支援するAIツールです。
アインシュタイン(Einstein)の活用により、ユーザーは顧客データから有益な洞察を得られるようになるため、より効果的な意思決定を行えるようになります。
Salesforce「Einstein」とは、CRM(顧客管理)に組み込まれたAI機能群を指し、営業・サービス・マーケティング担当者の効果的な意思決定をサポートする目的で開発されました。アインシュタイン(Einstein)の主な特徴は、以下の通りです。
Einsteinの主な特徴 | |
CRMの課題解決に特化 | CRMのデータを活用し顧客の行動パターンの予測やビジネスプロセスを最適化し、企業の戦略的な意思決定の支援を行う |
セールス活動支援に特化 | セールスとマーケティング効率の向上のために、顧客への最適なアプローチ方法を提供する。ワークフローの自動化・リードの質・商談の成功率を予測し、業務効率化や最適化を促進する |
Salesforceユーザーであれば利用可能 ※上位エディションや追加アドオンが必要な機能あり |
準備されたモジュールを組み合わせるだけで効果的に利用でき、専門知識がないユーザーもAIの恩恵を受けられる |
さらに、生成AI「アインシュタイン(Einstein)GPT」の活用により、メール文書や提案書の自動生成が可能となるため、業務効率化と顧客満足度の向上に大きく貢献します。
Salesforceは、2014年にAI研究チームを発足し、長きにわたりAI技術の研究・開発に注力してきました。AI研究チーム発足後のAI開発の歴史は、次の通りです。
このように、Salesforceは10年以上にわたりAI技術の研究・開発に取り組んできました。AI関連では300件以上の特許を取得し、227本を超える研究論文も発表するなど、確かな実績を持っています。
セールス・カスタマーサービス・マーケティング・コマースといった4つの部門において、AIツールのアインシュタイン(Einstein)をどのように活用できるか紹介します。
「Einstein for Sales」は、Sales Cloudに組み込まれたAI機能であり、予測AIや生成AIを活用して「営業プロセスの自動化」や「商談サポート」を行います。営業活動の効率化と成約率の向上を支援し、予測AIの顧客データ分析により、リードのスコアリング・商談の成功確率予測・最適なアクションを提案します。
また、生成AIの活用によるセールスメールの自動作成や商談の要約も可能です。予測的な分析やデータ入力が自動化されるため、営業担当者の業務負担軽減に有用です。営業チーム全体が本来注力すべき営業活動に集中できるようになると、組織全体の生産性向上が期待できます。
「Einstein for Service」は、Service Cloudに組み込まれたAI機能であり、カスタマーサービス業務の効率化と顧客満足度の向上を支援します。主な機能は次の5つです。
これらの機能により、エージェントの作業負荷は軽減され、迅速かつ的確な対応が可能となります。
さらに、AIの指示に従うだけで、顧客に応じた適切なカスタマーサービスが実現できるため、トレーニングコストを削減できる点もメリットです。
Marketing Cloudに統合されたマーケティング向けAIでは、マーケティング活動の効率化とパーソナライズを支援します。マーケティング向けAIにできることは、次の5つです。
AIツールを活用すると、顧客の行動データ分析が可能になるため、最適なタイミングでのメッセージ送信や個々の顧客に合わせたコンテンツを提案することが可能です。マーケティング担当者が戦略的な業務に集中できるようになると、顧客エンゲージメントやチームの生産性向上・改善が実現しやすくなります。
コマース向けAIでは、オンラインショッピング体験のパーソナライズや業務効率化を支援します。顧客の閲覧履歴や購買データを分析し、個々のユーザーに最適な商品をリアルタイムで提案します。
また、コマース向けAIには、検索結果のパーソナライズや動的な商品の並び替え、AIによる商品説明の自動生成などの機能が実装されているのも特徴です。コマース向けAIを活用することにより、顧客満足度の向上や売上目標の達成などが期待できます。
SalesforceのAI機能「アインシュタイン(Einstein)」は、CRMに特化したさまざまな機能を提供し、ビジネスプロセスの最適化を支援します。アインシュタイン(Einstein)に搭載されている主要な機能を8つ紹介します。
「Einstein Copilot(対話型AIアシスタント)」は、現行のAI統合基盤「Einstein 1 Platform」上で稼働する生成AI機能です。Salesforce(CRM)を導入している自社データをベースに学習して稼働するため、自社に特化した生成AIを活用できます。
Salesforce内のデータを活用し、自然言語での質問や指示に対して、正確で信頼性の高い回答やアクションを提供します。これにより、セールス・サービス・コマース・マーケティング部門において、顧客対応の最適化や業務プロセスの自動化を実現することも可能です。
また、ノーコードでカスタマイズできるため、企業のニーズに合わせて柔軟に運用できるのも強みです。
「Einstein Copilot Studio」は、Salesforceの対話型AIアシスタント「Einstein Copilot」を業務ニーズに合わせ、柔軟にカスタマイズできるローコード開発ツール群です。2024年3月に発表されたこの機能は、3つの主要コンポーネントによって構成されています。
Einstein Copilot Studioの主要コンポーネント | |
Copilot Builder | 業務タスクに対応するAIアクションを作成し、Salesforce内外のアプリケーションと連携可能 |
モデルビルダー | Salesforceや外部のLLM(大規模言語モデル)を選択・統合し、自社データに基づいたAIモデルの構築が可能 |
プロンプトビルダー | 技術的な専門知識を必要とせずに、業務タスクに対応するAIアクションを作成し、評価やデプロイができる |
Einstein Copilot Studioは「Einstein 1 Platform」「Data Cloud」と統合されています。企業の信頼性の高いデータを活用し、状況に即したより精度の高いAI体験を提供します。
「モデルビルダー」は、Einstein Copilot Studioの主要コンポーネントのひとつです。企業が自社の業務ニーズに合わせてAIモデルを柔軟に構築・運用できるよう支援します。モデルビルダーによって、Salesforce独自のLLM(大規模言語モデル)だけでなく、Azure OpenAIやGoogle PaLMなどの外部LLMを接続し、SalesforceのCRMデータと連携することも可能です。
これにより、営業・サービス・マーケティング業務において、より精度の高い予測や生成AIの活用が実現します。
また、Data Cloudとの統合により、データを移動またはコピーすることなくリアルタイムで信頼性の高いデータをAIモデルに活用でき、企業は業務プロセスの自動化や顧客対応の最適化を図れるようになります。
「プロンプトビルダー(Prompt Builder)」も、Einstein Copilot Studioの主要コンポーネントのひとつです。先のモデルビルダーだけでは使用できる生成結果を得られないため、生成AIを業務フローに組み込むために再利用が可能なプロンプトテンプレートを作成する必要があります。
プロンプトビルダーを活用すれば、ノーコードで簡単にプロンプトテンプレートを設計できるだけでなく、AIの効果を最大限に引き出すために欠かせない評価やデプロイを実行する機能も搭載されています。
CRMやData Cloudの信頼性の高いデータを活用し、パーソナライズされたAIコンテンツの生成を支援し、作成したプロンプトはSalesforceの各種アプリケーションやフロー内での再利用が可能です。
「Agentforce」は、Copilotやベース技術のGPTなどを活用した自立型AIエージェントプラットフォームです。Copilotが対話型アシストであるのに対し、AgentforceはAIパートナーとして複雑な業務プロセスをより自律的に遂行するのが特徴です。
Agentforceは、多様な業務シーンに対応できる複数のAIエージェントを含んでいます。たとえば「Agentforce Service Agent」は、24時間365日、顧客の問い合わせを受けた際に自然な言葉で対応し、複雑な問題が発生した際には、有人へスムーズに引き継ぐことが可能です。
営業担当者向けに設計された「Sales Coach Agent」では、営業ロールプレイによって実践的なコーチングが提供されます。
また、マーケティング分野では、キャンペーンの自動作成やパーソナライズされたコンテンツの提供、広告の最適化などを支援する機能も備えています。
各エージェントは、Salesforceのプラットフォーム上での構築やカスタマイズに対応しているのもポイントです。企業独自の業務フローに適したAIエージェントを簡単に作成できます。
「CRM Analytics」は、Salesforceの分析プラットフォームであり、Salesforce内外のデータを統合・分析し、ビジネスシナリオの提案や現状分析、未来の予測を可能にします。主な機能として、以下の5つが挙げられます。
CRM Analyticsは、Salesforceと同じプラットフォーム上で使用できるため、データ管理が容易です。モバイルデバイスにも対応しており、場所を問わずリアルタイムでデータへアクセスできます。
「Einstein ボット」は、Service Cloudに統合された対顧客向けのAI式チャットボットです。顧客対応の効率化を目的としており、事前に設定されたシナリオにもとづく会話対応・CRMデータを活用した個別対応・複雑な問い合わせ時の人間エージェントへのシームレスな引き継ぎなどが行えます。
SalesforceのCRM機能と連携できるため、顧客情報や過去の問い合わせ情報を迅速に確認できます。顧客からの問い合わせに対してAIによる即時回答が可能となり、チャットボットで対応しきれない際は有人に切り替えられるため、サポートの質を維持しながら業務効率化を実現できるのがメリットです。
「Einstein予測ビルダー」とは、Einstein上にあるデータを用いて将来のビジネス結果を予測できる機能です。ノーコードで機械学習モデルを構築し、既存のデータを分析できるため、従来のAIと比較すると使い勝手が向上しています。
使い方の一例としては、顧客の行動パターンや購買行動を分析し、個別のマーケティング戦略やキャンペーン・売上予測を行うほか、顧客の離脱の可能性や商談の成立確率などを予測し、営業やサービスの戦略に活用するといった方法があげられます。
Einstein予測ビルダーを活用すると、適切な在庫管理や需要予測にもとづいた生産コントロールなどを行うことが可能です。これにより、業務効率の向上と顧客体験の最適化が実現しやすくなります。
アインシュタイン(Einstein)の機能は、Salesforceのさまざまなクラウド製品に組み込まれて提供されます。そのため、利用する製品やエディション、アインシュタイン(Einstein)のどのような機能を利用したいかによって実際の価格は変動します。
Einstein for Salesは、Sales CloudにEinstein Copilotを含む生成AI機能と予測AI機能を追加するアドオンです。エディションによるSales Cloudの価格に加え、1ユーザーにつき月額9,000円(税抜)の費用がかかります。エディションによるSales Cloudの価格は以下の通りです。
エディション | 価格 | 契約条件 |
Starter | 3,000円(税抜) /ユーザー/月 |
月間/年間契約 |
Pro Suite | 12,000円(税抜) /ユーザー/月 |
年単位での請求・契約となり、別途取引手数料がかかる |
Enterprise | 19,800円(税抜) /ユーザー/月 |
年間契約 |
Unlimited | 39,600円(税抜) /ユーザー/月 |
年間契約 |
Einstein 1 Sales | 60,000円(税抜) /ユーザー/月 |
年間契約 |
たとえば、Einstein 1 SalesにEinstein for Salesを追加する場合、1ユーザーにかかる費用は月額69,000円(税抜)です。
Einstein for Serviceは、Service Cloudに予測AIと生成AIを追加するアドオンです。先で紹介したEinstein for Salesと同じく、エディションによるSales Cloudの価格に加え、1ユーザーにつき月額9,000円の費用がかかります。
なお、Einstein for Serviceは「年間契約」と記載されており、税抜きまたは税込みの記載がありません。消費税は予算の策定に影響するため、事前に問い合わせて確認しておきましょう。
Marketing Cloudには、いくつかの種類が用意されています。そのため、ビジネスの要件に適したマーケティング製品を選択することが重要です。AI機能が含まれている製品は「Marketing Cloud Account Engagement」であり、価格は月額150,000円~(年間契約)です。
コマース向けAIも、マーケティング向けAI同様に、エディションにAI機能が含まれています。ただし、価格は「個別見積もり」となるため、利用を検討する際はSalesforceへ問い合わせて確認する必要があります。
Agentforceは、既存のSalesforceユーザーであればすぐに利用できますが、料金体系は下記の2つに分かれています。
「Salesforce Foundationsプラン」は、Sales CloudやService CloudのEnterprise Edition以上を利用している既存顧客向けに用意されたプランです。追加費用なしで、Agentforceの会話およびリード:1,000件、Data Cloudクレジット:25万件、セールス・サービス・マーケティング・コマースの主要ツールを利用できます。
無料枠を超えて利用する場合や、より高度な機能を必要とする際は、1会話辺り240円の従量課金制が適用されます。なお、会話量が多い企業には、ボリュームディスカウントが適用されるケースもあります。ライセンスごとの課金ではないため、まずはSalesforce Foundationsの無料枠を利用してみましょう。
まとめ
Salesforceの「アインシュタイン(Einstein)」は、業務の自動化や効率化を実現する優れたAI機能群です。難しい設定なしで予測や生成AIのメリットを享受できます。
また、Einstein Copilotが登場したように、今後また新たな機能の追加も期待できます。アインシュタイン(Einstein)を利用する際は、1ユーザーごとに費用が発生します。
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この記事の執筆者
株式会社セラクCCC
株式会社セラクCCCは、Salesforceをはじめとするクラウドシステムの定着・活用支援を担うカスタマーサクセス企業です。
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